なぜ阪神の岡田監督は1イニング4失策でヤクルトに逆転を許しOP戦でいまだ勝ち星なしの7連敗に終わっても激怒しなかったのか?
岡田監督はキャンプイン前のミーティングで「まずは守備から」とチームの基本方針を示した。そこがおろそかであれば、レギュラー争いから脱落するだけの話である。守備の人である小幡が、定位置でミスをしたのは論外ではあるが、ファームの試合と重なり、外野手が不足している状況で、森下は本来の守備位置ではないセンターに入り、前川もここ数試合はレフトでの起用が多かった。これがもしレギュラークラスが犯したミスであれば岡田監督のリアクションも変わっていただろう。
つまり、まだ前川、森下、小幡の3人は、岡田監督を怒らせるレベルにまで来ていないのである。
開幕投手に指名した青柳が4回を1安打無失点。4番の大山にタイムリーも出た。むしろレギュラークラスの順調な調整の進み具合に手ごたえを感じとっていたのだろう。
オープン戦の初白星がスルリと逃げて7連敗である。
しかし評論家の間からは「そう深刻にとらえる必要はない」という声が多い。
阪神OBで評論家の池田親興氏も「オープン戦は調整が第一。投手を順番に調整登板させているわけで、勝ちにいっているわけではなく、途中からメンバーも変わるのだから、特に今の時期のオープン戦序盤戦の勝ち負けは関係ない」という見方をしている。
「たとえば万年最下位のチームにオープン戦から勝つ味を覚えさせるという狙いがあれば別だが、阪神は優勝&日本一のチーム。そこへのこだわりはないし、岡田監督は、何ひとつ気にしていないと思う。チーム戦力の底上げとなる若手、成長株の見極めと、やはり投手陣の調整具合だけが気になっているんだと思う」
岡田監督は15日の中日戦(バンテリンドーム)からオープン戦の残り8試合で勝ちにこだわる実戦モードに切り替えたいという話をしている。
ちなみに、ここ20年を振り返ると、2004年の西武(伊東勤監督、4勝8敗1分け)、2008年の巨人(原辰徳監督、2勝10敗3分け)、2020年の巨人(原監督、2勝10敗4分け)、2021年のヤクルト(高津臣吾監督3勝9敗1分け)、2022年のヤクルト(高津監督、4勝11敗2分け)と5チームがオープン戦の最下位からのリーグ戦優勝を果たしており、オープン戦のチーム成績が、それほどペナントレースの行方とは関係がないことを証明している。