なぜ井上拓真は5.9東京ドーム“兄弟世界戦”に向け「つまんない試合にならない。バチバチにいく」と過激に宣言したのか?
横から真吾トレーナーも「そういう試合になんないようにやっていく」と言葉を添えた。
アンカハス戦では被弾のリスクを覚悟して下がらず倒しにいった。兄の尚弥が「攻撃が最大の防御」と絶賛したスタイルの変貌だった。
「前回はいい勝ち方ができた。その勢いのまま、いい内容で勝ちたい。試合展開にもよるが、(石田戦でも)その場面がきたら、一歩も下がらず押し切ることもある。持ち味であるスピートとディフェンスは勝っている。触れさせないで自分のやりたいボクシングをして最後はKOで勝ちたい」
拓真の決意を真吾トレーナーが補足した。
「打ちながらもディフェンスをして、うちのスタイルにあてはめていきたい。(倒すボクシングに)メリットとデメリットあるが、そこをいい展開に持っていくと、会場を湧かすことができる。ただ単に打って打たれてのボクシングじゃない井上スタイルでやっていく」
超攻撃的に倒しにいくが、ディフェンスと表裏一体であることを忘れないというのだ。
そして防衛戦の向こうには、さらなる可能性が広がる。拓真の防衛戦の2日前には大阪で西田凌佑(六島)がIBF同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に挑戦する。WBCは、2月24日の拓真と同じ興行で中谷潤人(M.T)が新王者となった。対戦の可能性はないが、同門の武居由樹は、東京ドームでWBO世界同級王者のジェイソン・モロニー(豪州)に挑戦する。また2023年の最高試合に輝いた堤聖也(角海老宝石)も対戦候補の1人。穴口一輝選手が、不幸にも試合後、亡くなる出来事があったが、その思いも、拳に乗せて世界挑戦を希望する堤に大橋陣営では、チャンスを与えることも検討している。
拓真が言う。
「そうなってきたら楽しみ。誰が見てもバンタムで一番強いのは井上拓真だよという試合をお見せしたい」
もしかすればブレイク中の拓真が東京ドーム決戦で、兄以上のインパクトを残すのかもしれない。