セリエAラツィオの鎌田大地が今季限りの退団を申し出る…伊メディア報道…移籍先候補にボルシアMGなどが浮上
チーム内での立ち位置を含めた一連の状況が、鎌田にラツィオ退団を決断させたのだろう。前出の『calciomercato.com』は別の記事でこう伝えている。
「鎌田とラツィオの物語は花開くことはないようだ。サッリ監督の選手起用を悩ませようと、鎌田は常日頃から努力を怠らなかった。しかし、立場がリザーブから変わらないセリエAでの1年目に対して大きな失望を抱いている。ローマにおける彼の冒険は、指揮官の構想にうまくはまらないまま、短い幕間に終わる運命にある」
日本代表の常連でもある鎌田は、今年1月に中東カタールで開催されたアジアカップに招集されなかった。森保一監督(55)は理由を明言しなかったが、冬の移籍期間でプレー環境を変えたいと望む鎌田の今後を考慮したとも言われている。
実際にトルコの名門ガラタサライが、鎌田獲得へ向けてラツィオと交渉に入ったと報じられた。しかし、同じく『calciomercato.com』は次のように伝えている。
「ブンデスリーガへの復帰を希望している鎌田は、ガラタサライへの移籍を保留した。そして、最近になってブンデスリーガのボルシアMGが、鎌田に関する情報を入手している。再び輝きを取り戻すためのこの選択肢を日本人選手も認めている」
日本代表DF板倉や、シーズン中にセカンドチームのU-23から昇格したFW福田師王(19)が所属するボルシアMGの動きを、今月に入ってドイツメディアも伝えている。大衆紙『Bild』は、日本代表MF田中碧(25、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)の獲得に動いていたボルシアが、リストのなかに「鎌田も加えた」とし、こう報じた。
「ボルシアMGへの移籍は鎌田のキャリアをもとの軌道に戻すのに役立つ一方で、ボルシアMGに創造的な才能を還元する意味でも非常に歓迎される」
カタールW杯をベスト16で終えた直後に、鎌田は代表選手個々のレベルをさらに上げていくためにも、ヨーロッパのビッグクラブに所属する必要性を説いた。中盤で確固たる居場所を築いていたフランクフルトとの契約延長を固辞したのも、移籍金が発生しないフリートランスファーで、移籍しやすい環境を作り出すための決断だった。
かつて本田圭佑も所属したセリエAの名門、ACミランへの移籍が確実となった時期もあったが、ミランの体制変更などもあってご破算になった。二転三転した末に加入したラツィオでは、現時点で指揮官の構想やチーム内の序列を覆せていない。
対照的にフランクフルト時代の鎌田は、ヨーロッパのカップ戦を含めた公式戦で計40ゴールをマーク。2021-22シーズンにはUEFAヨーロッパリーグ制覇にも大きく貢献し、チームに42年ぶりとなる国際大会のタイトルをもたらした。
北中米の3カ国で共催される2年後の次回W杯の舞台に立つためにも、8月に28歳になる鎌田に立ち止まっている時間はない。プレー環境だけでなく、ピッチ外の文化や風習にも慣れているドイツで再出発するための鎌田のシナリオは着々と進んでいる。