「何も4月の開幕にピークにもっていく必要はないからな」なぜ阪神の岡田監督はオープン戦10試合目にしての初勝利にも不機嫌モードになりかけたのか?
阪神が13日、オープン戦10試合目にして初勝利をあげた。千葉幕張のZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテ戦に6-1で快勝。先発の伊藤将司(27)が5回無失点、2番手の村上頌樹(25)が4回1失点という豪華な昨季10勝投手リレーでロッテ打線を寄せ付けず、打線も近本光司(29)、ヨハン・ミエセス(28)、佐藤輝明(25)らにタイムリーが出るなど開幕に向けて収穫のあるゲームになった。
「そういう問題やないやろ」
虎の指揮官が、一瞬、不機嫌モードになりかけた。
「オープン戦でようやく勝ちがつきましたが?」の質問に表情を変えた。
「勝ちがつくって。そういう問題やないやろ」
記者団としてはオープン戦初勝利の感想は聞かねばならない必須の問いだ。虎ファンも、岡田監督の反応を知りたい部分だろう。
さらに「予告通りに次戦(15日の中日戦)から戦術も入れて戦うんですね?」との質問が飛ぶとこう返した。
「そうやん。だから明日ミーティングするやん。初めてサインの。それだけのことやん」
名古屋への移動のため黄色いネクタイ姿に着替えていた岡田監督は、ここで自ら会見を打ち切り、東京駅へ向かうバスへ向けて歩き出した。
6-1の快勝でオープン戦10試合目にして初勝利をつかんだ。ここまでは各自の開幕へ向けての調整と選手の見極め絞り込みがメインのテーマ。サインも出していない。岡田監督の話通り、今年のサインは、明日、名古屋でのミーティングで固める。チームとして勝ちにいっていないから勝敗はまったく気にしていなかった。
2002年の阪神はオープン戦で15勝3敗2分けの成績を残して1位で終えた。新監督に就任した星野仙一氏は、前任者の野村克也監督の時代に3年連続で最下位に終わり、チームにこびりついている負け癖を払しょくしようと、しゃかりきに勝ちにいった。その勢いのまま開幕7連勝の最高のスタートを切り、4、5月は首位を走ったが、6月からチームは下降線をたどり、結局、4位でAクラスにも入れなかった。
今季の阪神は、昨年の優勝&日本一チームである。オープン戦は勝ち負けよりも調整と、選手の見極めが最優先。もちろんボーダーラインの若手は必死になって結果を出さねばならないし、それがチームの底上げとなるため、彼らの活躍が勝利につながるにこしたことはないが、岡田監督は、オープン戦の順位や結果などまったく気にしてはいない。
――過去20年でオープン戦の最下位チームが5度優勝しています(笑)。
「何いうてんの。この4年で3回やん。20年で5回ちゃうでえ(笑)」
岡田監督が言う通り、2020年の巨人、2021年、2022年のヤクルトと、ここ4年で3チームがオープン戦最下位からのリーグ優勝を果たしており、オープン戦の結果が、ペナントレースの成績に直結していないことをデータが証明している。
「ベストな状態で開幕からいけるようにするのが一番のみんなの目標やから、そこに持っていけるように各自が調整しているけどな。別に4月の開幕にピークにもっていく必要はないからな。開幕スタートは、もちろん大事やけどシーズンは長いんやでえ。ピークは、もっと先でええ。キャンプからの準備が遅れているんやったら、何も、ここで無理することはないんよ。そういう話はコーチにしたよ」
おそらく岡田監督が「4月の開幕にピークにもっていく必要がない」としたのは怪我や体調不良などで調整が遅れている選手へ向けてのメッセージだろう。
加えて雨にたたられて5日の楽天戦、前日のロッテ戦と2試合が中止になって先発投手の調整予定が狂った。本来ならば、12日に村上が5回、門別が4回を予定していたが、この日は、伊藤将が5回、スライドの村上が4回に変更。門別は16日のウェスタンリーグの広島戦に回ることになった。