「泣いてもあかん」亀田興毅氏「3150ファイト」の和毅“負けたら引退マッチ”中止と相手変更など一連の“契約ドタバタ劇”にJBCが不信を抱き調査に乗り出す
プロボクシングの「3150ファイト」のファウンダーである亀田興毅氏(37)が15日、都内で会見し、31日に名古屋国際会議場で行われる大会でメインに予定していた元2階級制覇王者でIBF世界フェザー級5位の亀田和毅(32、TMK)と同級2位のレラト・ドラミニ(30、南アフリカ)のノンタイトル12回戦及び、大手プロモーターであるマッチルームと共同開催する予定だった優勝賞金100万ドル(約1億4900万円)を争うミドル級トーナメント「プライズ・ファイター」の延期を発表した。和毅は代替選手のWBCユース・スーパーバンタム級王者ケビン・ビジャヌエバ(23、メキシコ)とフェザー級10回戦で対戦する。同大会はABEMAでPPV(前売り3150円)で配信される予定だったが、大幅なカード変更のため無料配信に切り替え、すでに購入されたPPVチケットの払い戻しに応じる。ただ共催解消の理由を語らず契約書の中身などに疑念が持たれる部分が多いため日本ボクシングコミッション(JBC)が調査に乗り出すことになった。
「言えることと言えないことがある」
亀田興毅氏が何度も言葉に詰まった。涙が溢れそうだった。
プロモーターとして大会直前になってファンを裏切る形が続いたことに対する懺悔の思いと自らの不甲斐なさへの悔しさが重なったのだろう。この日、弟の亀田和毅が「負ければ引退」の覚悟で挑むはずだったドラミニとの再戦が中止となり、1億4900万円もの高額優勝賞金が話題となった大手プロモーター会社マッチルームと組んでのミドル級トーナメント「プライズ・ファイター」の延期が発表された。
「私の不徳のいたすところ。プロモーターとしての私の責任。和毅は弟ではあるが、いち選手として申し訳ない気持ちでいっぱい」
まず最初にマッチルームとの共催で1回戦が行われるはずだったミドル級トーナメントの延期が発表され、ミドル級の世界ランカー3人を含む外国人ボクサー6人が来日せず、その1回戦を兼ねて行われる予定だったWBOアジア&日本タイトルの2冠戦、王者、国本陸(六島)と同級1位の可兒栄樹(T&T)の試合についても「やるかやらないかも含めて継続協議中」と明かされた。
今回、ミドル級トーナメントが延期となった理由は、マッチルームの日本進出に関してその資金面をバックアップするはずだった楽天チケットが、ボクシングと組む事業計画そのものを見直すことになったことによる一方的な申し入れだった。楽天の財布事情の話を興毅氏ができなかったことは理解できるが「言えることと言えないことがある。それ以上の理由は言えない」と、理由説明もなく、「トーナメントは延期して切り離して開催することになった。来日予定だった6人の試合はやりません」では、興行の責任者としての説明責任を果たしていない。
厳しいようだが「3150ファイトをもっと高いところへ選手が稼げるところへもっていきたい。よりよいものを作りたい」と、いくら理想を語っても説得力はない。
マッチルームは楽天チケットと組んで日本に進出する計画を昨年9月に発表。この際、契約は3年で年に3回イベントを開催すると発表していた。当初は1月20日にノエビアスタジアム神戸で旗揚げ戦を行うはずだったが、それが2月にずれ、3月にずれ、最終的には自主興行ではなく「3150ファイト」との共同開催となった。1月31日の会見では7月に準決勝、11月にアリーナクラスの会場での決勝との構想を語っていたが、延期どころか、今後、行われるかどうかも微妙。興毅氏は、楽天と切り離してマッチルームと組んで3150ファイトでトーナメントを開催できるかどうかを模索しているようだが、1億4900万円の資金を捻出するのは簡単ではない。
また弟の和毅とドラミニとの再戦も中止となり、急きょ、若手の有望株であるメキシカンとのフェザー級ノンタイトル10回戦に変更となることも発表された。ドラミニとの再戦にはIBFの挑戦者決定戦であることが付帯条件だったという。