7.28埼玉「超RIZIN.3」で実現の朝倉未来vs平本蓮が「負けたら引退マッチ」となった理由とは?…この戦いに勝負論はあるのか?
平本は、突然、隣に座る榊原CEOにふざけた提案をした。
「朝倉の引退試合になったら無冠の帝王で終わるんでタイトルマッチにして欲しいんです。負けた方がベルトを巻くという新たなタイトルを作って欲しいんです」
すると榊原CEOは意外にもまんざらでもない反応をした。
米最高峰の格闘技団体UFCでも5年前に特別なベルトである「BMF (Baddest Mother Fucker、最高にイカしたやつの意味)ベルト」が作成され、ホルヘ・マスヴィダル対ネイト・ディアス戦の勝者であるマスヴィダルに贈呈されたことがある。榊原CEOは、その話を紹介して「何か考えたい。強さだけを象徴するのがベルトじゃない。存在意義をかけたベルトがあってもいい」と明言した。
そのやりとりを聞いていた朝倉は、「あたかも自分が1回でもベルトをとった口ぶりだったので何目線で言っているのかな」とパンチの効いた一言。確かに平本もK-1時代からタイトルはない。それでも平本は「無冠同士面白い。そんなふざけたタイトルマッチないじゃないですか?」と口が減らなかった。
さらに、これまで平本戦を「メリットがない試合」と語っていた朝倉が、試合を受けた動機について「直近の試合で負けたりもあって…」と説明しようとしていると、また平本がちょっかいを入れた。
「YA-MANにぶっとばされたから、この試合が決まったんですよ。聞かなくてもわかるじゃないですか?」と一刺しすると、朝倉は無視して「なんでしたっけ?質問」と、仕切り直した。
「楽な相手だからですよ。オレが狙っているのは、大晦日にトップに絡んだ奴と戦って復活するってことです。(平本戦は)準備運動みたいなもんです」
これも本音だろう。朝倉が狙っているのはフェザー級のベルト。4月29日のRIZIN.46」(有明アリーナ)で王者の鈴木千裕が、金原正徳と初防衛戦を行うが、朝倉は、鈴木、金原、前王者のクレベル・コイケ、ケラモフの4人の名前をあげて具体的な対戦希望候補とした。
過去に朝倉は、2度、ユーチューブやSNSで引退をほのめかしている。コイケ戦、YA-MAN戦に敗れた試合後だ。だが、いずれもすぐに引退を撤回した。だが、今回は、もし負ければ簡単に引退撤回というわけにはいかないのかもしれない。榊原CEOは「(平本は)売り言葉に買い言葉で言っているかもしれないが、未来がこのタイミングで引退するのは腹落ち(納得)する」との見解を示した。いくら平本が、急成長中とはいえ、彼との試合の敗戦は、世代交代と格闘家としての限界を突きつけられることになるからだ。
一方の平本の「負けた引退」には深刻なものは感じられない。試合への注目度を高めるための仕掛けの一つだろう。