元阪神の高山俊が登場し二塁打放つもオイシックス新潟は西武に勝てず開幕3連敗…24イニング連続無得点と打撃不振
また勝てなかった。今季からイースタン・リーグに新規参入したオイシックス新潟アルビレックスBCが19日、埼玉のCAR3219フィールドで西武ライオンズと対戦したが、0-2で敗れて3連敗、待望の歴史的1勝はまたしてもお預けとなった。昨季のBCリーグ最多勝投手である左腕の牧野憲伸(24)が先発し6回2失点の好投を見せたが、打線が2試合連続のゼロ行進。元阪神の高山俊(30)が「3番・DH」でスタメン復帰しエンタイトルツーベースを放ったが起爆剤とはならなかった。橋上秀樹監督(58)は「あと20試合くらいは厳しい戦いが続くと覚悟している。勝負にこだわりたくてもこだわれない」との苦しい心境を語った。
「高山!絶対に1軍に戻ってこいよ」
「3番・DH」でスタメン復帰した高山が打席に立つとファンから大きな激励が飛んだ。
「高山!絶対に1軍に戻って来いよ」
おそらく熱狂的なタイガースファンなのだろう。
2点を追う6回一死から西武の今季のローテーに食い込もうとしているアンダースロー與座海人から右中間のフェンスをワンバウンドで超えるエンタイトルツーベースを放った。ここまでチームは、昨季2勝6敗、防御率3.69の與座に対して無得点に抑えられていた。高山も1、2打席と続けてセカンドゴロに打ち取られていたが、初見の変則投手に2打席で対応するあたりさすがだ。だが、高山が得点圏に進んでも後が続かなかった。
高山は8回も二死一塁で一発が出れば同点の場面で打席に立ち、育成の上間永遠の143キロのストレートにうまくバットを合わせたが、レフトフライに終わった。9回は現役ドラフトで広島から移籍してきた中村祐太に締められた。腰の張りで欠場していた打の切り札の1人が打線に戻ってきたが、2試合連続の完封負け。オイシックス新潟の歴史的1勝はまたお預けになった。
ウエスタン・リーグに新規参入したくふうハヤテの4試合で40四死球が話題になったが、オイシックス新潟は、3試合でわずか1得点、現在24イニング連続無得点である。
「1軍で投げているあのレベルの投手との対戦がないから、速さとか変化球のキレについていけない。まだ地に足をつけてプレーできていない選手もいる。そんなにお客さんもいないのにね。対戦を重ねていけば、なんとかアジャストできると思うんだけどね。1軍もそうだが、今の野球は投高打低。うちのようなチームがイースタン・リーグに入ると、そこが顕著に出る。いつかノーヒットノーランをやられるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしているのが本音。一本ヒットが出たらほっとするもん(笑)。教育リーグの試合数も少なかったし、あと20試合くらいは苦しい試合が続くと覚悟している」
三塁コーチに立って指揮を執る橋上監督は真摯に3連敗の結果を受け止めた。
人件費を抑えるためにオイシックス新潟のコーチ陣は4人しかいない。しかも野手コーチは横田謙人1人のため、橋上監督が三塁コーチを務めなければならない。BCリーグでは、選手がランナーコーチを務めることが認められていたため、終盤は、選手に三塁コーチャーズボックスに立たせたが、プロ野球ではオールスターなどの特別な試合以外の公式戦では不可のため、最初から最後まで橋上監督は、三塁コーチとしてサインを出す。
「代打などを含めての作戦面は、イニングのはじめに、こうなったらこうという話をベンチでしてあるが、緊急のケースではジェスチャーや大声で指示しています。大変ですよ」
また移動も経費節減のために当日移動。この日は、朝5時に新潟を車で出発した。橋上監督は自ら2時間以上を運転してきた。
為す術がなかったわけではない。
1回に先頭の知念大成がライト前ヒットで出塁した。だが、続く元巨人、横浜DeNAの田中俊太に強行させてセンターフライ。走者を進めることができず腰の張りで2試合欠場していた元阪神の高山もセカンドへの併殺打に倒れた。
2回にも一死からインフルエンザによる離脱から復帰した篠田大聖がライト前ヒットを放つが、続く熊倉凌はセンターフライで走者を進めることができない。
橋上監督が内情を明かす。
「シーズンが始まって3試合。まだ進塁打、右打ちはやらせていない。バントやエンドランのサインは出しますが、基本フリー。今はチーム打撃よりも、しっかりとボールを見るとか、打席数を重ねてプロのレベルのピッチャーにどれだけアジャストできるか、という段階なんですよ。それができて次の段階、つまり打撃に制限をかけることできる。そういう意味で、今はまだ勝ち負けにはこだわっていないというかこだわれない」