ウクライナに快勝したサッカーU-23代表はパリ五輪最終予選を突破できるのか…1勝1敗に終わった強化試合の収穫と課題を考察
ウクライナ戦は4月16日から中東カタールで開催されるパリ五輪アジア最終予選を兼ねたAFC・U-23アジアカップ前、最後の実戦だった。
決定力不足など課題は残した。それでも白星を手にした価値を、日本サッカー協会(JFA)のトップ就任後で初めて代表戦を視察した宮本恒靖会長(47)は高く評価する。
「どのような内容であれ、勝つことで自分たちのサッカーに対して説得力を持てる。さらにチーム内でお互いに要求し合う声がよく聞こえてきた。誰かが何かをやってくれるのを待つのではなく、それぞれが発信する姿勢がこれからは大事になってくるので」
声が飛び交う光景を藤田も笑顔で歓迎している。
「ハーフタイムでは、途中から出る選手で流れを変えよう、という声があちこちから出ていた。前日練習から全員が意識を高く持ってプレーしていたので、そういった温度感の高さといったものにも、みんながうまく馴染めていったと思います」
藤田の言葉通りに、後半31分にショートカウンターからダメ押しゴールを奪ったのは途中出場の田中だった。勝利とともに最終予選へ気勢をあげたのが“光”とするならば、チーム内には解決への糸口すら見つからない“影”も存在している。
今回の国際Aマッチデーには、パリ五輪世代のベストメンバーが招集されているわけではない。これは日本サッカー界があげている“嬉しい悲鳴”と表裏一体にある。
パリ五輪世代を含めたアンダーカテゴリーでも、ヨーロッパでプレーするホープたちが急増している。長い目で見れば歓迎すべき状況だが、来月のAFC・U-23アジアカップに限れば、中心となるべき選手を招集できない状況を招きかねない。
来月は国際Aマッチデーの期間外のため、各国協会は代表選手を拘束できない。Jクラブ側とは原則として1チーム最大2人というルールを設けた一方で、海外勢を招集する場合はそれぞれの所属クラブと粘り強く交渉しなければいけない。
今回招集されている藤田、佐藤、MF山本理仁(22、シントトロイデン)、GK小久保玲央ブライアン(23、ベンフィカ)、DF内野貴史(23、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)は、来月も引き続きU-23代表でプレーできる目処がついた選手となる。