なぜ横浜DeNAの三浦監督は日本で前例のない革新的コーチ陣用で優勝に挑むのか…36歳と38歳の元アナリストが投打チーフコーチ
横浜DeNA三浦大輔監督(50)の独占インタビュー。今日29日、横浜スタジアムで広島戦との開幕戦を迎える横浜DeNAは、アナリストを投打のコーチの責任者にするという日本プロ野球界では前例のない画期的な陣容でシーズンに挑むことになった。その真意を指揮官に聞いた。
横浜DeNAの今季のスローガンは「横浜進化」。その言葉が示すように異例のコーチングスタッフを組んだ。オフェンスチーフコーチに36歳の靍岡賢二郎、チーフ投手コーチに38歳の大原慎司という 昨年までアナリストを務めていた若い2人を投打の責任者としたのだ。また楽天から走塁のスペシャリストの佐竹学を走塁のアナリストとして招聘した。
「今年はオフェンスコーチ、ディフェンスコーチに分け、走塁アナリストとして佐竹コーチにも来てもらいました。攻撃面では石井コーチにファーストコーチとしてやってもらいます。昨年までは相川コーチが守備も攻撃とも大変なところがありましたが、今季は、攻撃をどうするのか、守備をどうするのかをより明確にわかりやすく分けてシンプルにしました。それぞれにチームを置き、私と話し合って、作戦に落とし込んでいきます」
三浦監督がそう説明した。
スコアラーからのコーチ転身はそう珍しいことではない。阪神の嶋田宗彦1軍バッテリーコーチは岡田彰布監督に呼ばれるまでスコアラーだったし(その前にはコーチ経験はあるが)、巨人の野上亮磨、吉川大幾の両スコアラーも今季からそれぞれ3軍投手コーチと3軍内野守備コーチに配置転換となった。
メジャーでは、「ドライブライン」出身のプロ経験のないデータ解析の専門家が打撃コーチに就任するなどの動きが各球団に出ている。だが、これだけ若いアナリストが同時に投打の長に抜擢されるのは日本球界で前例はない。
元キャッチャーである靍岡のプロ実績は、ほぼないに等しい。春日部共栄高、日体大、独立リーグの愛媛を経て、2010年にドラフト8位で横浜に入団。3年目まで1軍経験はなく、ブルペン捕手、ゲームアナリストを経て、異例の抜擢を受けた。
大原は明秀日立高、常磐大、TDKを経て、2010年のドラフト5位で横浜に入団。左のワンポイントとしてルーキーイヤーから71試合に起用され、新人としてのシーズン最多登板記録に並び、実働6年間で243試合に登板し10勝3敗2S55Hの成績を残した。戦力外通告を受けて2017年限りで引退、その後、球団職員を経てアナリストを務めていた。
「名選手、名コーチにあらず」はプロ野球“あるある”だが、プロ実績としては物足りない2人にチーフを任せて大丈夫なのか?という不安は残る。
「経験してきた人にしかわからない部分もあります。データだけがあってもダメ。例えばブルペンでいい球を投げる投手はたくさんいます。何万人を前にしたマウンドでも同じ投球をできるのが理想ですが、緊張でできない、あるいは逆にアドレナリンが出て練習以上の力を出す選手もいます。それらのコントロールには指導者の経験が必要になってきます。アナリスト出身の彼らと経験のあるコーチの指導をうまく融合させたいんです」
三浦監督がそう補足した。