人的補償で獲得した“8回の男”甲斐野がいるから今年の西武は強い!
開幕戦に続く2セーブ目をあげたドミニカ共和国出身の右腕で、昨シーズンはヤンキースで45試合に登板したアブレイユは最速155kmのストレートを中心に、1番・福田周平(31)から始まったオリックスの最後の攻撃を力でねじ伏せた。
試合後には甲斐野を中心とする、ブルペン陣の明るさに感謝している。
「ブルペンからマウンドへ行くときは、みんなが『agresivo、agresivo』と声をかけてくれる。ロッカールームでもグラウンド内でも、初めて日本に来た僕をみんなが助けてくれる。みんなが助け合う、素晴らしい雰囲気が生まれている」
アブレイユが言う『agresivo』とは、スペイン語で「アグレッシブ」を意味する。昨シーズンまでにはなかった、と言っていい雰囲気が開幕直後ですでに生まれている背景は、自身の性格を「ソフトバンクではおふざけキャラというか、明るいムードメーカーとみんなから言われていました」と打ち明ける甲斐野を抜きには語れない。
本拠地開幕戦には2万7252人の観客が詰めかけ、試合中には「完売御礼」の文字がビジョンに映し出された。あまりに大きく、それでいて反響する大歓声に驚いたのか。ブルペン待機中に「これ、やばくないですか」と周囲へ思わず尋ねてしまったと苦笑した甲斐野は、勝って兜の緒を締めよ、とばかりにこんな言葉も残している。
「ホッとしていますし、また明日すぐあるので、そこはもう切り替えてやっていきたい。ただ、四球もそうですけど、先頭の宗に対しても初球でストライクを取った後に3ボールになっているので、そこも今後改善していかなきゃいけないですね」
今日3日はドラフト1位左腕、武内夏暉(22、国学院大)が予告先発する。昨シーズンに9勝をあげたオリックスの最速160km右腕、山下舜平大(21)と投げ合う期待の大型ルーキーを、3戦無失点の甲斐野を軸とする「新・勝利の方程式」が後方支援する。
(文責・藤江直人/スポーツライター)