阪神森下の劇的逆転2ランを招いたのは三浦監督の継投ミスだったのか…「守り勝つ」岡田阪神の象徴となったゲラの“神牽制”

そして極めつけが8回からマウンドに上がったゲラのビッグプレーである。ゲラは一死二塁の同点ピンチを招いたが、この日、タイムリーを放っている要注意のルーキー石上へ初球を投じる直前に、セットポジションから上げた左足をそのまま二塁方向へターン。飛び出していた走者の関根を挟殺プレーの基本通りに、まずは自分で走って二塁へ追い込んでから1－6－5とつないでアウトにしたのだ。
　ゲラは元遊撃手で2019年から投手転向したという変わり種。その俊敏な守備力や牽制の上手さは、キャンプ、オープン戦から評判になっていたが、元遊撃手の感性で、関根の意識が三塁へ向かっていることを察知したのだろう。ゲラは来日最速160キロのストレートで石上を空振りの三振に打ち取り、一気に流れは阪神に傾いた。
　その裏、近本の本塁打、佐藤の今季初タイムリーなどで2点を追加。
　岡田監督を「1点だと上位に回って来るんで、九回は。近本のホームランで2点差になったのが大きかったですね」と安心させた。
　チーム状態は良くない。まだ先発陣は調子の波を取り戻せず、打線もクリーンナップ、特に佐藤が相手バッテリーに思うがままに支配されてしまうなど危機的状況にある。しかし、守りに好不調はない。
　沖縄キャンプの前日ミーティングで岡田監督は、連覇を「その1点」という目標に掲げ「とにかく守備から入る、もう一回守備に重点を置いてやる」と宣言した。
　チーム状態が上がってくるまで「守り勝つ」野球で耐えるしかない。今の阪神が徹底すべき方向性を示すような今季の2勝目だった。
「今の状態から言うと、3連敗しないというか。ひとつひとつ勝てるゲームは勝っていく。そういうチーム状況。今日の勝ちで、明日は最後のローテーションピッチャーの西なんで。ちょっとは、ゆっくりできると言うたら、おかしいですけど、落ち着いてできると思います」
　今日の先発は“第6の先発”の西勇。オープン戦の内容を見れば、6人のうち西勇が、結果も内容も最も安定していた。岡田監督が「落ち着いてできる」と語ったのは、西勇に序盤から大崩れする懸念がなくゲームメイクできるとのイメージができあがっているからだ。
　対する横浜DeNAはサブマリンの中川颯。オリックスを戦力外になった男がキャンプ、オープン戦と生き残って6人目の先発の座をつかんだ。気合の入り方は相当なもの。しかも阪神は開幕第3戦の巨人戦でサブマリンの高橋礼をうちあぐみ、6回をわずか1安打無得点に抑えられている。難しい試合にはなりそうだが、勝てば勝率5割。岡田阪神にとっても負けられない戦いになる。