「めちゃくちゃ打つか、ただの人で終わるか。どっちかやな」2試合連続決勝アーチを放った阪神の佐藤輝明は覚醒したのか…岡田監督が語っていた可能性
だが、打席の中での対応が必要でボール球を振ってカウント負けしてしまうと墓穴を掘る。実際、開幕カードの巨人戦では、キャッチャーが中腰になって、これまでと同じ弱点を攻めていた。岡田監督は、今季の打線のキーマンは、ポテンシャルが無限大の佐藤だと考えており、開幕前には、筆者に指揮官らしい独特の表現で、その可能性をこう表現していた。
「むちゃくちゃ打つか、ただの人で終わるか。どっちかやな」
まだ打撃内容は決してよくない。
タイミングの合わないスイングが多く狙い球も定まっていない。岡田監督は4日の横浜DeNA戦から佐藤を5番から6番に下げた。まだ5番に再昇格させる手応えはなく「ただの人で終わる」の危惧も残る。それを「いい状態だと思う」と佐藤が言っているのは、不思議ではあるが、一方で、2試合連続の決勝本塁打に「むちゃくちゃ打つか」の予兆が少し出てきていることも確かである。
2日の横浜DeNA戦では、タイムリーエラーで先発の村上の足を引っ張ったが、6番に降格した4日の第3戦では、三塁、本塁への積極的な走塁を見せて岡田監督がダブルリクエストを成功させた。戦う姿勢を見せていることを何より首脳陣は評価している。
ヤクルトの2試合ではブルペンの質と層の違いがもろに勝敗に直結した。岩崎ーゲラ、あるいはゲラー岩崎の8、9回の勝利方程式にも見通しが立った。だが、打線に得点力がなければブルペン勝負もできない。
岡田監督は神宮に来てから報道陣への試合後の対応をしていないそうだが、先発の完成度、6回、7回のリリーフ陣の整備、打線のつながり、もう1本欲しいタイムリーなどを含め「チーム状態はまだまだ。今は5割キープでいい」というのが本音だろう。
だが、2試合連続の決勝アーチで勢いに乗る佐藤の手応えは違っていた。
「(チーム状態は)だんだん上がってきたんじゃないかなと思います」と言い、「明日も勝ちます。応援よろしくお願いします」と神宮のレフトスタンドを埋めたファンに約束した。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)