「山本由伸はアーティストだ」ド軍ロバーツ監督が5回8K無失点でメジャー初勝利の山本を絶賛しカブス敵将は「すべてが揃った投手」と脱帽
ドジャースの山本由伸投手(25)が6日(日本時間7日)、敵地シカゴでのカブス戦でメジャー3度目の先発マウンドに立ち、5回3安打無失点、自己最多の8三振を奪う好投でメジャー初勝利をあげた。「2番・右翼」でスタメン出場した鈴木誠也(29)との対決は、四球、三失、空振りの三振だった。試合後、デーブ・ロバーツ監督(51)は「彼はアーティストだ」と絶賛。敵将のクレイグ・カウンセル監督(53)も「彼はフルパッケージだ(すべてが揃った投手)」と脱帽だった。ロサンゼルスタイムズ紙は、山本がフォーム修正に取り組んだ苦悩を明かしている。
「右腕のカーブとしては最高級。左腕はカーショー」
いきなり大ピンチを迎えた。
立ち上がりに先頭のハップにセンターオーバーの二塁を浴び、注目の鈴木との対決は四球。さらにベリンジャーはショートゴロに打ち取ったが、難しい打球をさばいたロハスがセカンドへ送り、鈴木の足が先にベースに届いていた。無死満塁。フォークが制球できていなかった。だが、山本は487億円の男にふさわしい修正能力を見せる。
決め球、カウント球にカーブを使い、4番のモレルを全球カーブで三球三振。ロバーツ監督が「右投手としてのカーブで最高級。左腕はカーショーが王様だが」と絶賛したボールだ。さらに続くスワンソンにはボールが3つ先行してしまったが、そこから粘り、最後はインローにズバッとフォーシーム。手が出ずに見送ったスワンソンが審判に抗議したほどのボールだった。そして続くブッシュもカーブで見逃しの三振。圧巻の三者連続三振でピンチを切り抜けたのである
米スポーツサイトのジ・アスレチックによると、山本は「試合序盤はスプリットが落ちなかったので変化球でカウントを取り直した」と振り返り、ロバーツ監督は、「彼はソウルの過ちを繰り返すことを望んでいなかった。それが見えただろう」という。
「ソウルの過ち」とは3月21日の韓国でのパドレス戦。メジャーデビュー戦で山本は1回に5失点KOされていた。
山本は2回にも鈴木の三塁ゴロを守備に不安のあるマンシーがエラーするなどして再び二死満塁のピンチを招いたがベリンジャーをカーブで見逃しの三振に斬ってとり、この回もスコアボードにゼロを並べた。3回からは立ち直り、走者を一人も出さないパーフェクトピッチング。大谷のレフト前ヒットのつなぎなどで3点の援護点をもらった5回も鈴木を高めの152キロのフォーシームで空振りの三振に仕留めるなど、3人で切り抜け、まだ80球だったが、メジャー初勝利の権利を得て、ここでバトンタッチ。デビュー戦のKO、前回の登板で35分間の雨天中断のアクシデントなどがあり、次回登板を中5日にする予定でいたため、ロバーツ監督は85球のリミットを定めていた。直接監督と話をした山本も「驚きはなかった」という。
4-1で勝利し、山本のメジャー初勝利が確定すると、ベッツが中心となって、洗濯用のカートに乗せられて、シャワー室に“連行”されビールかけの祝福を受けた。「あっという間に終わった」というが、ビール以外の液体もかけられた様子だった。