「日本はマナー違反のサッカーで中国に勝った」パリ五輪最終予選で22日に対戦する韓国メディアが一発レッドの退場者を出したU-23日本代表の戦いをチクリ

　今夏のパリ五輪のアジア最終予選を兼ねた、サッカーのAFC・U-23アジアカップのグループB初戦が16日にカタールのジャシム・ビン・ハマド・スタジアムで行われ、U-23日本代表が1－0でU-23中国代表を振り切り、8大会連続12度目の五輪出場へ白星発進した。前半8分にMF松木玖生（20、FC東京）のゴールで先制した日本だったが、相手選手へ乱暴な行為を働いたDF西尾隆矢（22、セレッソ大阪）が同17分に一発退場。10人でつかんだ勝利を、22日のグループB最終戦で対戦する韓国のメディアは「マナー違反のサッカー」と伝えた。

「開始早々に先制したにもかかわらず試合内容は乱雑」

　幸先よく先制し、さらに勢いづこうとした日本が水を差された。
　左CKをはね返された日本がこぼれ球を拾い、2次攻撃に出ようとした前半16分。日本のWEリーグでも笛を吹いた経験がある、オーストラリアのケイシー・レイベルト主審(36)が試合を止めた。自陣の中央で顔を押さて倒れている中国のMFジャ・フェイファンを巡り、VAR（ビデオ・アシスタント・レフェリー）が介入したからだ。
　続けてOFR（オンフィールド・レビュー）を実施したレイベルト主審は、ピッチへ戻った直後の17分に西尾へレッドカードを提示した。ボールと関係のないところで西尾の背後からフェイファンが体をぶつけ、左手で振り払おうとした西尾の左ひじが相手の首元を直撃した。これが「乱暴な行為」と判断され、問答無用の一発退場となった。
　開始8分に右サイドからのクロスに利き足の左足を合わせ、完璧なボレーを見舞って先制点を決めていた松木は、西尾が退場した瞬間の心境をこう振り返る。
「けっこう早い段階だったので、残り時間を守るのは厳しいかなと思ったけど、タフに戦い続けながら守り切れた。あわよくばセットプレーからもう1点を取りたかったけど、それでも自分たちの強さを出せたと思っている」
　前後半のアディショナルタイムを含めて、実に85分以上の時間を10人で戦った日本は、当然のようにボール支配率で38％対62％と後塵を拝した。それでも後半は中国のシュートを3本に封じるなど、体力を激しく消耗させながらも泥臭く戦い続けた。
　しかし、前半の早い時間帯にセンターバックが、それも相手へひじ打ちを見舞って一発退場したイメージが色濃く残っていたのだろう。韓国メディアの『OSEN』は、1－0のまま逃げ切った日本を「マナー違反のサッカーで勝利した」と伝えた。
「開始早々に先制したにもかかわらず、試合内容は乱雑なものになった。センターバックを務める西尾が退場処分を受けた日本が、直後から劣勢に立たされ続けたからだ。ただ、数的優位に立った中国が仕掛けた攻撃は、最後まで不器用なままだった。交代選手を含めた作戦がまともに進まなかったからか、スタンドからはため息が漏れた」
　不器用な攻撃ながらも、中国にもチャンスが訪れた。しかし、3度に及んだビッグセーブを含めて、身長193cm体重78kgのビッグサイズを誇る守護神、小久保玲央ブライアン（23、ベンフィカ）が日本のゴールマウスを守り切った。
　相手のミドルシュートがクロスバーに弾かれ、九死に一生を得た直後の前半42分。左サイドからのクロスに飛び込んできたFWベイヘラム・アブドゥワイリに、至近距離から放たれたヘディングシュートに対して素早く反応。右へダイブして弾き返した。
　最大のピンチは後半2分。自陣からのロングボールに抜け出したFWドゥ・ユェジェンが、左サイドからアーリークロスを送る。トップスピードで走り込んできたMFシエ・ウェンノンが右足でシュートを放つも、腰を落とした低い体勢でその眼前に立ちはだかった小久保が、とっさに繰り出した左足にボールを当ててピンチを未然に防いだ。
　同29分には右CKから、左利きのDFフー・フェアタオが巻いてくる軌道で直接ゴールを狙ってきたが、小久保はジャンプした体勢からさらに長い左手を伸ばしてゴールを阻止。終了間際の43分からは身長200cmのGKユー・ジンヨンを、FWとして投入する奇策に打って出た中国だったが、もはやチャンスを作り出す力は残っていなかった。