「なぜ今日なのかと言えば…」長谷部誠は今季限りの引退を緊急発表した理由とは?…今後はフランクフルトで指導者修行
「家族とともに居心地がよく、第2の故郷でもあるドイツに長く滞在する自分の姿を想像できる。両親に会うために休暇を取って日本へ帰国する期間ももちろんあるけど、ライセンスの勉強は楽しいので、(最上位の)S級まで取得したいと思っている」
静岡県の名門・藤枝東高から2002年に浦和レッズ入りした長谷部は、2006シーズンのJ1リーグ優勝や2007シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇に貢献。2008年1月にドイツ・ブンデスリーガ1部のヴォルフスブルクへ完全移籍し、2008-09シーズンにはクラブの初タイトルとなるリーグ戦優勝に貢献した。
2013-14シーズンの開幕直後に移籍したニュルンベルクをへて、2014年6月にはフランクフルトへ移籍。在籍10シーズン目を迎えた愛着深いクラブで、2017-18シーズンのDFBポカール、2021-22シーズンのUEFAヨーロッパリーグ制覇に貢献している。
ブンデスリーガ1部では現時点で通算383試合に出場。これは外国人選手では歴代3位、アジア人選手では同1位にランクされる。レジェンドの一人になった長谷部は、2006年にデビューした日本代表としても歴代7位の通算114試合に出場。キャプテンとして南アフリカ、ブラジル、ロシアと3大会続けてW杯のピッチに立った。
代表を含めて、最も思い出に残っている試合や場面を問われた長谷部は「正直、いまは思い出には浸りたくない」と残り5試合になった今シーズンを見すえた。
「すべてを終えれば自分のキャリアについて話せると思うし、いまは最後の目標を達成したい。それは現在の6位を守り抜き、来シーズンのUEFAカンファレンスリーグの出場権を獲得して、サポーターのみなさんと一緒に祝う光景です。そして来シーズンは、ドイチェ・バンク・パルクでアイントラハトの試合を観戦できるのを楽しみにしている」
ドイツの大衆紙『Bild』は「アイントラハトに残る」と公言する長谷部に、4部相当のリーグに所属するU-21チームのアシスタントコーチのポストが用意されると報じている。指導者の道を本格的に歩み始める長谷部が将来的にS級ライセンスを取得すれば、日本人で初めてヨーロッパ5大リーグで監督を務める可能性も生まれてくる。当然ながら、そのときには日本代表監督への待望論も沸き上がってくるだろう。
壮大な未来の前に、勝ち点3ポイント差の7位で追いすがるアウクスブルクを、ホームに迎える19日の第30節を含めた残り5試合で選手としての完全燃焼を目指す。最終節は5月18日。同じくホームにライプツィヒを迎える一戦で、長谷部は「娘と息子と一緒に(手を繋いで)ピッチに入場したいですね」と父親としての夢も思い描いている。