「2団体を統一した後にエストラーダと戦い気持ちを清算したい」7.7両国でWBA王者の井岡一翔が無敗のIBF王者マルティネスと2団体統一戦…その先に見据えるのは?
そして2団体統一を果たした後の目標は、5階級制覇でも、4団体統一でもなく、やはりエストラーダだった。
「まずは、この試合に集中したい」と前置きした上で思いを明かす。
「5階級制覇はより先のこと。この階級で戦いたい相手と戦って証明することができてからのことで、そこまでは発言できないし強く思う気持ちはない。4団体統一についてはベルトに興味があるのではなく、誰と戦いたいか、選手に興味がある。選手との戦いを優先的にやりたい。この試合でベルトを2本とって、その後にエストラーダと3団体統一戦ができたらいい。WBAの指名試合もある」
エストラーダは、井岡の統一戦の約1週間前にビッグマッチが待ち受けている。WBC世界スーパーフライ級王者を返上してフライ級に転向してIBF&WBOの2団体を統一し再びスーパーフライ級に上げてきた19戦(12KO)無敗の軽量級の次世代スター候補として注目のロドリゲスとの対戦だ。ちなみに彼は井岡が2度戦ったフランコの弟。
当然、その実力を知っている井岡が、エストラーダの名前を口にしたのは、その世界戦を勝ち抜くと考えているのだろうか。
井岡に会見の返答に抱いた疑問を直撃した。
WBA王者は笑って否定した。
「ジェシーにエストラーダが勝つと思ってした発言じゃないですよ。エストラーダにとって厳しい戦いにはなると思います」
そして、その真意をこう説明した。
「勝ち負けを想定して名前を出したんじゃないんです。僕はエストラーダと戦いたいから6年前に現役復帰しました、憧れではなく、彼との戦いで、その気持ちを清算したいとの思いが強いんです。だから名前を出したんです」
井岡の言う「気持ちの清算」。それは35歳のボクサーが考えている「ボクシング人生の清算」なのかもしれない。井岡がベルトではなく「戦いたい選手」と語ったのは、そういうことなのである。
ただし2つのベルトを保持してエストラーダと戦いたいのであれば、WBAの王座統一戦をクリアしなければならない。体重超過の“奇人”ライアン・ガルシア(米国)がWBC世界スーパーライト級王者のデビン・ヘイニー(米国)から3度ダウンを奪い、大番狂わせを起こしたタイトル戦の前座カードで、WBA世界スーパーフライ級の暫定王座決定戦が行われ、同級1位のジョン・ラミレス(米国)を5位のデビッド・ヒメネス(コスタリカ)が判定で下して新王者となった。今回は統一戦ということでWBAは、指名試合を見送ったが、次はそうはいかない。だが、そのすべてのストーリーは、マルティネスに勝たねば何も始まらない。
「ファンが熱くなれるような試合をして統一したい」
井岡は来月から米国ラスベガスキャンプに入る。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)