「最後までどうなるかわからへん」“7連勝”阪神の土壇場逆転劇の裏に何があったのか…“雨の戦い”を読み切った岡田監督の洞察力と泥沼マウンドで狂った横浜DeNAの守護神
横浜DeNAのブルペンを狂わせた雨は、9回裏に虎のストッパーにも襲いかかる可能性がある。1点では足りなかった。さらに無死満塁で、ここまで4打席連続三振の佐藤。サトテルは1人カヤの外の最悪の4-2-3のホームゲッツーに倒れたが、続く梅野が四球を選び再び満塁として木浪が初球の甘く浮いたストレートをレフト前へ返した。この2点目が結果的に、9回のゲラに余裕を持たせ、二死一、二塁からドラフト1位の度会にボール球を振らせて三振でゲームセットである。
「先頭が塁に出ると言っても筋書き通りにはなかなかいけへんもんやからな、ああいう風に後ろにつなげれるんやから、そらたいしたもんよ。大山も意地?1本出る方がええやん。出ない奴もおるねんから(笑)」
岡田監督は怒涛の逆転劇を演じたメンバーを称えた。
雨が山崎、徳山を“並みの投手”に変えてしまっていたとはいえ、打者一巡の猛攻で4点を奪った、その集中力と確かな技術は、日本一チームの力だった。
「雨の戦い」を制するための必須戦略は、いつコールドが宣告されても大丈夫なように先手を取ることである。岡田監督は、1回、3回と無死一塁から2度、中野にバントで送らせた。だが、タイムリーが出なかったため、5回無死一、二塁では、中野に一転、強行させた。中野は進塁打を意識して引っ張って一、三塁としたが、これらのジワジワとしたベンチの仕掛けが、9回の巡り合わせにつながったのかもしれない。
岡田監督にとって、この時期の7連勝と貯金「4」は「想定外」である。チームコンディションが整うまで、勝率5割前後をキープできれば、御の字と考えていたし、軌道に乗るまで最低でも1か月は、時間が必要だとの覚悟があった。チームがまだ未完成の状況で、勝ち星が続くのは、連覇へ向けての資格を持ち得ている証拠でもあるが、指揮官は、しっかりと足元を見ている。
「最後にうまいことつながったから、点を取れたように見えているけど、序盤は全然やで。2、3点取っていたらもっと楽な展開になってるんや」
6回まで毎回先頭打者が出塁しながらわずか1点しか奪えなかったことへの苦言を忘れなかった。移動日を挟み、26日から本拠地甲子園でヤクルトとの3連戦。今の勢いを本当の力に変えれるのであれば申し分はない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)