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ネリは写真撮影が終わると井上へ敬意を表してサングラスを外した(写真・山口裕朗)
ネリは写真撮影が終わると井上へ敬意を表してサングラスを外した(写真・山口裕朗)

井上尚弥は“悪童”ネリとの東京ドーム決戦でいったいいくら稼ぐのか…日本ボクシング界過去最大30億円超えのビッグ興行か

 タイソンの東京ドーム興行は1988年と1990年に2度開催され、それぞれ5万1000人と5万1600人の観客動員を記録したが、チケットの最高額は10万円と15万円。今回はリングサイドの最高額は22万円のため、必然的に入場収入は跳ね上がる。共同プロ―モーターのトップランク社の幹部が、Xに「ゲート収入は2000万ドル(約30億6000万円)プラス」と投稿したが、その線に届く可能性は高いだろう。
 村田―ゴロフキン戦では、国内の独占放映権と海外の放映権を分けて、DAZNからゴロフキン側に15億円のファイトマネーが支払われたため、興行規模としては、20億円を超えたが、今回は、それをも上回るビッグイベントとなる。ゲート収入と放映権料だけで、30億円を余裕で超えることが予想される。
 気になるのは、井上のファイトマネーだ。日本のボクサーの過去最高額は、ゴロフキン戦で村田が手にした5億円とされている。だが、本田会長は「超えているじゃないの」と明かし「井上の場合は海外の関係者が驚くくらいスポンサーが多くついているからね」と、スポンサー料を含めると相当の金額になることを付け加えた。
 本田会長によると、ボクシングは勝ち負けがハッキリとつき予想がつかないため、スポンサー料が賞金や出場料を上回るテニスやゴルフのプロ選手とは違い、世界的にスポンサーがつきにくい傾向にあるという。だが、井上だけは例外で多くの一流企業がサポートしている。今回もサントリー生ビールのCMに井上家が井上尚弥、拓真、真吾トレーナーの家族3人で出演して話題となった。
 英大衆紙の「ザ・サン」は、昨年7月のスティーブン・フルトン戦で「井上は800万ドル(約12億2000万円)の総額のうち500万ドル(7億6500万円)を手にした」と報じているが、年間のスポンサー料をプラスして、1試合のファイトマネーに換算するとネリ戦のそれは限りなく10億円に近いものになるのかもしれない。数年前に井上は「将来的には、プロとして夢を与えるような金額は手にしたい。最低2桁はいきたい」と語っていたが、もうその夢の領域に手が届いた。
 またネリのファイトマネーに関しても、本田会長は、2018年にWBC世界バンタム級王者として山中氏の再戦を受けた際のファイトマネーの「何倍も上」で、ネリにとって過去最大になることを明かした。
 練習嫌いで知られるネリが「5か月間もパーフェクトなトレーニングをした」のも、計量前日にリミットをクリアしたのにも納得がいく。
 またセミファイナルで元K-1王者、武居由樹の挑戦を受けるWBO世界バンタム級王者のジェイソン・マロニー(豪州)も、当初、5月11日に母国で開催されるワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とジョー・カンボソス(豪州)のIBF世界ライト級王座決定戦のアンダーカードで防衛戦を行う予定だったが、急きょ、日本行きに方向転換するほどのファイトマネーをオファーされた。V2戦となるWBA世界同級王者の弟、拓真のファイトマネーもアップしている。大橋会長が負担する残りの世界戦3試合にかかる経費や東京ドームの使用料なども相当のものだが、興行規模が過去最大になるのも当然だろう。
 ネリ戦が歴史的な最大イベントであることが、井上のモチベーション、そして力に変わる。
 会見で井上は「こんなに素晴らしい環境、タイミングがそろった試合はない。4つのベルトを守るモチベーションを生かしてあさっては勝ちに行きたい」と口にした。
 今日5日の計量を経て、運命のゴングは、いよいよ明日だ。
(文責・本郷陽一/ROSNPO、スポーツタイムズ通信社)

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