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4万3000人で埋まった東京ドームにあったもうひとつの物語(写真・山口裕朗)
4万3000人で埋まった東京ドームにあったもうひとつの物語(写真・山口裕朗)

井上尚弥の“凄さ”をネリとの因縁持つ山中慎介氏と那須川天心はどう語ったか…もうひとつの東京ドーム物語

 

 キックボクサー時代の2022年6月にK-1王者の武尊との「THE MATCH」で満員の東京ドームのリング上に立っていた天心は、4戦4勝の世界ランカーのボクサーとしてリングサイトにいた。
「僕もドームで試合しているんで。THE MATCH以来にここで格闘技を見たんで、すげえ久しぶりだなと。盛り上がっていましたね、決めるところをチャンピオンなんで決める。学ぶものは多い」
 理論派の天心が目をつけたのは、ダウン後に右ストレートでネリとの距離を支配した井上のテクニックだった。
「(井上の凄さは)距離じゃないですか。間合いの取り方。みんなパンチに注目しがちですが、相手が読めないタイミングでパンチを打っているんで。そこが相手にわかんない。それをなんで打つかを(自分で)理解して打っている。そこが僕は凄いと思いました」
 天心が求めているものの一つに距離の支配がある。最高のお手本を見たのだろう。
 セミファイナルでは「同じ時代を戦ってきた同士」と言う元K-1王者の武居由樹(大橋)がWBO世界バンタム級王者のジェイソン・マロニー(豪州)に3-0判定で勝利してプロ9戦目で新王者となった。
「素直に嬉しい。おめでとうございます」と祝福の言葉を伝えた。
 武居が新王者となり、WBA世界バンタム級王者の井上拓真が、指名挑戦者の石田匠(井岡)に兄と同じく1ラウンドにダウンを奪われながらも逆転で判定勝利した。4日には大阪で西田凌佑(六島)がIBF世界同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)から判定でベルトを奪う“番狂わせ”を起こしており、WBC世界同級王者の中谷潤人(M。T)を含め、これで天心がターゲットとするバンタム級の4つのベルトを日本人が独占することになった。
「全員(世界王者が)日本人になったんで狙いやすい。僕が日本人に勝つとボクシング界がおもしろくなる。ワクワクしている。まだタイトルに絡んだ試合はないが、ピッタリというか、自分のために4つあるんじゃないかというマインドにはいる」
 天心は自らの運命論に重ねた。 
「すぐには(世界挑戦へ)いけないんで。ずっとひとつのミスもないようなトレーニングをしている。焦るというより、もっと気を引き締めてやらないといけない」
 夏に予定されている次戦は5戦目にして地域タイトルへの挑戦となる計画が進んでいる。
 4人の日本人王者の統一戦線に天心が絡んてくればボクシング界は盛り上がるだろう。
 そして天心が狙うは、東京ドームのリングである。
「僕も同じボクサーなので、ボクサーとして、東京ドームを次埋められるならオレしかいないかなという気はある。次の東京ドームはいつなのか(わからないが)、その時は絶対、来ると思いますよ」
 そう自らの未来を予言した。
 リングサイドにあったもうひとつの東京ドーム物語である。

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