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1ラウンドに井上がダウンを喫するまさかのシーンが(写真・山口裕朗)
1ラウンドに井上がダウンを喫するまさかのシーンが(写真・山口裕朗)

衝撃新事実発覚!井上尚弥がネリ戦で喫したまさかのダウンは“初体験”ではなかった…過去にモンスターが倒された相手とは?

 当時は、神奈川県の秦野に真吾トレーナーが作っていた自前のジムで練習をしており、スパー相手がいなかったため、真吾トレーナーと弟の拓真の3人で順繰りに回しながらスパーをしていたという。
「ボディブローですよ。悶絶です(笑)。キャンバスに大の字になりました。当時はすでにスピードがあり、足を使われるととてもついていけなかったんですが動きが止まったところの一発です。まだ体もできていなかったし自分の方が体も大きかった。だから練習を含めるとネリのダウンは2度目なんです。本当はナオに一度もダウンのないまま引退してもらって『唯一倒したのは自分だよ』と自慢したかったんですけどね(笑)。わかりませんが、あの経験が今回生きたんじゃないですか。ふふふ」
 あまりのダメージに翌日、血尿が出たほどだったという。
 真吾トレーナーは、町田にあったプロジムで練習を積んでいて仕事の関係もあってプロテストは受けなかったが、その実力はプロレベルにあり、当時すでに高校のタイトルを総なめにしていた息子を相手にヘッドギアもつけずにスパーリングの相手をしていたという。
 だが、高3になる頃には、井上のフィジカルができつつあり「パンチが当たらなくなった」。母親を通じてヘッドギアをつけて欲しいと伝えられ、井上が逆に手加減しているのを肌で感じるようになったためプロ入りと同時に“親子スパー”は行われなくなった。
 ネリ戦の劇的TKO勝利の軌跡を遡っていくと、そういうモンスターのルーツに辿りつく。
 その逆転劇の裏にはさらなる秘話があった。 
 ダウンを喫した後にまだ1分以上の時間が残っていた。
 井上はクリンチ、顔面を覆い尽くすような鉄壁のガード、スウェーなどのテクニックを駆使して、その危険な時間帯を乗り切ろうとした。ちょうど、赤コーナー付近でロープを背にして防戦一方になった際に、すぐ下にいた真吾トレーナーは大声を出した。
「慌てるな。打ち終わり(を狙え)、打ち終わり!」
 徐々に回復してきた井上がアッパーを打ち返すのでネリも深追いはできなかった。絶体絶命のピンチを切り抜けた井上は、インターバルでコーナーの椅子に座ると場内のビジョンに映し出されたダウンシーンのスロー映像を見て「どのパンチをもらい、どういうダウンだったのか」の確認作業をした。驚くほど冷静だった。
 その1分間で真吾トレーナーは、こんなアドバイスを送っている。
「まずは一回リセットしよう。仕切り直そう。ジャブは当たっている。まずジャブから組み立てていこう。丁寧に丁寧にね。自分の距離を踏まえていこう」

 

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