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阪神の才木が今季初完封勝利で7点差をひっくり返された嫌なムードを断ち切る
阪神の才木が今季初完封勝利で7点差をひっくり返された嫌なムードを断ち切る

阪神の岡田監督が「才木様様よ」と賞賛した25歳の右腕はなぜ完封に成功したのか…“筒香斬り”に見えた気迫と炎のストレート…「逃げたらあかん。そういうことやんか」

 この回を無失点で切り抜けてベンチに帰ってきた才木に岡田監督は安藤コーチを通じて最後まで一人で投げ切ることを命じた。
「(最後までいけと)言うたよ」
 才木は「いったろうか」と意気に感じたという。
 ここからの才木が凄かった。山本を150キロのストレートで空振りの三振、好調の京田にも、全球ストレート勝負でショートゴロ、代打の度会の打席でストレートはこの日MAXの153キロを表示。最後は外角へ152キロのストレートを決めてスイングアウトである。
 岡田監督が言う。
「風の影響もあったかもしれんけど、6回くらいから高めのボールが伸び取ったもんな。去年までは、どっちかという球数がいくと(球威が)落ちていたんやけど、ようなっているよな」
 トミー・ジョン手術から3年目。才木のフィジカルも本格化してきたのかもしれない。
 才木の気迫は守備陣にも伝わった。
 5回一死一塁から、京田のレフトとセカンドの間に上がった難しい打球を中野が、なんと背面キャッチ。強風が吹き荒れる中で見せた曲芸である。一塁走者の山本は打球が落ちるものだと判断してもう三塁まで走っていた。中野から大山へとボールが渡り併殺打である。
 虎の子の1点は、3回二死から才木が選んだ四球から始まった。
 はまったのは、岡田監督が仕掛けた打線のシャッフルである。プロ入り初めて1番に座った井上がセンター前ヒットでつなぎ、中野がライト線を破るタイムリー二塁打で大貫から先取点をもぎとった。岡田監督は、3番打者の打率が低いことに注目。その問題点を解消するため、チーム内で最多打点を叩きだしている近本の3番起用ありきで、打線をシャッフルし、1番井上、2番中野、3番近本、4番大山、5番ノイジー、そして打撃内容が良くなってこない佐藤をスタメンから外して糸原を「6番・三塁」で起用していた。
 防御率1.60の「サンデー才木」はチーム内で重要な位置を占める。
「負けた後にけっこう才木で勝ってるやろ」
 岡田監督の言葉通り、勝ち負けはつかなかったが、巨人との開幕カードで3タテを食らうピンチを止めたのも才木だったし、ここまで7試合の先発のうち4試合で、黒星をストっプしている。ハーラートップタイの4勝目を手にした才木が混セを抜け出すキーマンになるのかもしれない。
 5月12日はマザーズデイ。
 審判もピンクの装いに変え、全員がピンクのリストバンクを着用し、同色のバットやグラブを使用する選手も少なくなかった。
 ヒーローインタビューで「兵庫にいるお母さまに一言お願いします」とふられた才木は、「え?」と、一瞬、予想外の質問に戸惑った後「勝ちましたあーー」と照れ笑いを浮かべて報告していた。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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