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佐々木尽の左フックがノイナイの顔面をえぐる(写真・山口裕朗)
佐々木尽の左フックがノイナイの顔面をえぐる(写真・山口裕朗)

ド迫力TKOでウエルター級“アジア2冠”ゲットの佐々木尽は世界を狙えるロマン砲か、それとも未完の大器か?

 

 メスを入れた左肩は万全ではなかった。
 試合前には「まだ96%」と語っていた。週に3度行っていたスパーリングを週2に減らして6ラウンド以上のスパーは行わないようにした。
 それでも試合ではフルスイングしているかのように見えた。
 控室で中屋会長から「ところで肩に痛みはない?」と聞かれた佐々木は「大丈夫です。もう96、97%かな」と、どんな基準かよくわからないが、1%だけを上積みさせていた。
 本来サウスポーは苦手でスパーリングではパンチを避けることができず左目に青タンを作った。だが、徐々に克服。
「パンチを打つ際の頭の位置を変えられるようになった。ディフェンスが良くなった」との手応えを感じていた。
 この日はガードを固めて距離を潰し、左も右も関係なくするシンプルな戦術で、危険な相手をTKOに仕留めたが、出せなかったスキルが数多くあったという。
 リング上で佐々木は3人の世界王者の名前を出した。
「スタニオニス、バリオス、エニスには勝てると思っている」
 ウエルター級の4つのベルトのうち3つのベルト保持者、WBA世界ウエルター級王者のエイマンタス・スタニオニス(29、リトアニア)、WBC世界同級暫定王者のマリオ・バリオス(28、米国)、IBF世界同級王者のジャロン・エニス(26、米国)だ。
「特にスタニオニスとバリオスは相性がいい」とまで言う。
 8月3日にWBAスーパーウエルター級のタイトルに挑戦するクロフォードは、その後、スーパーミドル級の4団体統一王者サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)とのビッグマッチを目指すため、保持しているウエルター級の王座はすべて返上すると見られている。前出したようにWBAには正規王者、WBCにも暫定王者がいるため、決定戦が行われるのは、WBOだけになるが、佐々木は、WBCで9位、WBA、IBFで6位、WBOでは4位の位置につけている。通常王座決定戦は、1位と2位の間で争われるが3位がクロフォードに敗れた元3団体統一王者のエロール・スペンス(米国)で、おそらく王座決定戦には出ないため、今回の勝利で、また佐々木のランキングがアップした場合、もしかすると、お鉢が回ってくる可能性がないわけではない。

 

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