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  • なぜ辰吉丈一郎は大差判定勝利した次男の寿以輝に「へたくそやなあ」「(タイトルは)絶対無理」と苦言を呈したのか…井上尚弥所属の大橋ジム東洋王者の中嶋一輝に挑戦交渉へ
父の辰吉丈一郎はサウスポーへの課題を露呈した次男の寿以輝に厳しい評価を与えた
父の辰吉丈一郎はサウスポーへの課題を露呈した次男の寿以輝に厳しい評価を与えた

なぜ辰吉丈一郎は大差判定勝利した次男の寿以輝に「へたくそやなあ」「(タイトルは)絶対無理」と苦言を呈したのか…井上尚弥所属の大橋ジム東洋王者の中嶋一輝に挑戦交渉へ

「サウスポーとやり慣れていないからしょうがないかもしれないが、(寿以輝のような)オーソドックスが(普通に戦ったら打つ際に頭の位置は)右側へずれる。サウスポーのど正面になる。それをやってしまったから、打たれるし頭もぶつかる。ガードもせんし動かんしな。相手にとっては、こんなやりやすい相手はなかったんとちゃうかな。ずっと左足が相手の右足の内側にあるもん。あれじゃボディも当たらん。左回りは、していたけれど無意味。ジャブを打つとき、必ず左足を相手の右足の外に置けと教えたつもりやったけど聞いてくれんかったな」
 右構えのボクサーが左構えのボクサーと戦う際、左足を相手の右足の外に置かねばならないのが鉄則。辰吉は。その基本と共に「サウスポーに対しては前に出ないとあかん。ジャブでプレッシャーをかけろ」とも伝えていたが、それができていなかったことを嘆いた。
「あんな相手に判定よ。1ラウンドで倒せよ。もたつくからやん。オレの本音で言わせてもらうと、相手も倒れたかったんや(笑)。でも、あのボディじゃ倒れるに倒れんのよ」
 父は、終始辛口だったが、実は、現役時代のカリスマもサウスポーを苦手としてきた。
 ダニエル・サラゴサ(メキシコ)には、2度戦って勝てなかったし、ポーリー・アヤラ(米国)とは、寿以輝と同じくバッティングで流血して負傷判定で辛くも逃げ切っている。
「どうせなんか言うてんでしょ?」
 父の“小言”を予想していた寿以輝は、試合後の控室に“浪速のジョー”が現れると「サウスポー苦手やったやん。アヤラも負傷判定やったし」と突っ込んだ。
 サウスポーを苦手とするのは辰吉家の遺伝子なのかもしれないが、父は「サウスポーは好きよ」と強がり、息子も「苦手意識はない」と言う。そこも似ている。やはり親子だ。
「アヤラはパンチを出すときの頭の位置が通常のサウスポーと逆やったんや。サラゴサは、え?と思うほど、タイミングが遅れる。2段モーション。普通のサウスポーとちゃうから」
 辰吉は昔話を昨日の話のようにしたが、寿以輝も同じようにチャイワットを「普通のサウスポーとは違った」と振り返っている。
 対サウスポーへの課題は残したがポイントでは圧勝した。次に待ちに待ったタイトル戦へと進む資格は手にした。
 吉井会長は残した課題を指摘しつつも「次へ向けて最低限の条件はパスしてくれた」と、試合後に縫った両目の傷が完治することを条件にタイトル戦の交渉に乗り出す考えを明かした。
 ターゲットは、ズバリ、サウスポーの東洋王者中嶋だ。中嶋との対戦経験のあるチャイワットをテストマッチに選んだのも、この東洋王者への挑戦を想定してのものだった。

 

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