なぜ辰吉丈一郎は大差判定勝利した次男の寿以輝に「へたくそやなあ」「(タイトルは)絶対無理」と苦言を呈したのか…井上尚弥所属の大橋ジム東洋王者の中嶋一輝に挑戦交渉へ
スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥を擁し、世界王者を3人も抱えて勢いに乗る大橋ジム所属の中嶋は、18戦15勝(12KO)2敗1分けの戦績を誇るハードパンチャーだ。バンタム、スーパーバンタム級の東洋太平洋の2階級制覇王者で、WBOアジアパシフィックスーパーバンタム級のベルトも手にしている。昨年6月には、元IBF世界同級王者で井上尚弥の次戦相手としても名前が挙がっているTJ・ドヘニー(アイルランド)に4回TKO負けを喫して王座から陥落したが、この2月の東洋太平洋の同級王座決定戦で、変則の試合巧者である中川麦茶(一力)を後半は、ほぼワンサイドの判定で下して再びベルトを獲得した。
大橋陣営は、中嶋の初防衛戦を計画中だが、V2戦で辰吉を迎え撃つ用意はある。
辰吉は、その強豪のサウスポー王者に勝てるのか。
辰吉は、「もうテストマッチの必要はない。(タイトル戦が決まれば)やるならやる。でも自分からやりたいとは、今日の内容では言えない」と多くを語らなかった。
試合後、両者と対戦経験のあるチャイワットに意見を問う。
チャイワットは、「パンチが強かった。特に左右のボディが効いた。KO負けしなくて良かった」と素直に完敗を認めた上で、「両者が対戦すれば辰吉が勝つだろう」と断言した。
「パンチは辰吉の方が強い。タフさは中嶋が上。ただ中嶋は顎が弱いだろう。辰吉の方が強いと思う」
チャイワットは2年前に中嶋と対戦して左フックと左右フックで2度ダウンを奪ったが、最後の8ラウンドにロープを背負い防戦一方となったところでレフェリーにTKO負けを宣告された。すぐさま抗議したが受け入れられなかった。
だが、父の辰吉丈一郎は否定的だ。
「タイトル戦?サウスポーが多いんやろう?(勝つのは)絶対無理や。今のままじゃ無理。サウスポー対策を考えなあかん。バランスよ。立ち位置よ。やっていくしかない」
息子を愛するがゆえの辰吉流の檄。
寿以輝も何が必要かをわかっている。
「天才肌じゃないんで。こういう試合から勉強したい」
井上尚弥が世界に衝撃を与えた5月6日の東京ドーム決戦はAmazonプライムの配信で見た。
「凄いなあと思って見ていました。刺激ですか?僕はあまり他人には関心がないんで。東京ドーム?やりたい(と言う希望)はないが、いずれは(あそこで)やります」
まずはその入場切符を手にしなければならない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)