「井上尚弥戦はあきらめない」仕掛け人に聞く…“悪童”ネリvs“問題児”カシメロは本当に9月に日本で実現するのか?
「この試合は、どちらにとっても意味のある試合になると思うんです。カシメロは井上尚弥戦につなげたい。ずっと目標にしてきた試合はあきらめていません。ネリはフェザー級で再びチャンピオンになるための足がかりにしたい。ただカシメロは、井上チャンピオンのスーパーバンタム級でランキングを上げたいのでフェザー級ではやりたくない。試合はスーパーバンタム級とフェザー級の間のキャッチウエイトになります。ネリにしてもフェザー級への転級に向けて、まずはこれくらいの体重で戦った方がちょうどいいのではないでしょうか」
伊藤氏は、122ポンド(55.34キロ)のスーパーバンタム級と126ポンド(57.15キロ)のフェザー級の間をとって124ポンド(56.25キロ)でのキャッチウエイトでの対戦を考えているという。
ただ問題はファイトマネー。
ネリは井上戦で1億円を超える世界王者並みのファイトマネーを手にしたとされる。一発KOのパンチ力を秘めた危険なカシメロを相手にするには、ノンタイトル戦であってもそう安い金額では動かない。カシメロも同じだ。負ければ、本当に井上戦は消滅するだけに、それ相応のファイトマネーは必要だろう。
伊藤氏は「そこは気合で(笑)。もちろん井上戦のファイトマネーを考慮した上でネリサイドにはノンタイトル戦でも恥ずかしくないファイトマネーをオファーしました」という。
ネリとカシメロには因縁がある。これまでも何度か対戦の話が持ち上がっていた。ネリは昨年11月に母国のユーチューブ番組に出演して「カシメロはただ吠えるだけのクソみたいなチワワだ。オレは挑戦を受けたのに、あいつは逃げ出して引退したコーチのようなやつ(小國)と戦っていた。しかも引き分けていたんだ」と批判。
一方のカシメロも、井上―ネリ戦の観戦動画をSNSにアップし、「もしオレが(井上と)対戦していたら結果は違っていただろう」と、TKO負けしたネリをディスった。そして井上に向けて「オレがお前を殴ったら、お前は白目をむくだろう」と問題児らしく悪態をついた。
カシメロはWBO世界バンタム級王者時代の2020年4月に一度は米国での井上戦が決まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となり、その後、井上への挑発を続けていたが、体重超過などを繰り返して王座を失い、モンスターと拳を交える機会を得ることはなかった。
伊藤氏は「まだ本当に交渉の入り口。他のカードにも色々とアイデアがある。なんとかして9月に日本でネリ対カシメロを実現させたい」との熱意を口にする。
井上に敗れたネリの再起戦と井上への挑戦切符を手にしたいカシメロの強打者2人のそれぞれの想いを乗せた激突はストーリーも含めて興味深い。交渉の行方に注目したい。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)