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才木が魂の116球完封勝利で連敗をストップ。梅野のリードが光った
才木が魂の116球完封勝利で連敗をストップ。梅野のリードが光った

なぜ阪神の才木はロッテの“魔の9回”を乗り切り1-0完封勝利で連敗ストップに成功したのか…梅野のリードとZOZOマリンの風

嶋田バッテリーコーチは「相手の弱点と才木の特徴をよくつかんで梅野が素晴らしいリードをした。ソトはフォーク狙いだったと思うが、梅野がそこを察知して裏をいった」と、梅野のリードを称えた。
 ZOZOマリン名物の強風を味方につけた。才木自身は「(風の影響は)そんなに感じなかった。もっと吹いてるイメージだった。梅野さんも外野への打球が伸びるくらいという話をしていた」というが、梅野は嶋田バッテリーコーチに「フォークが高めにいくと伸びてしまうけど、低めにいくとよく落ちる」という話を伝えていたという。
 この球場では、バックネットに当たった風が投手に対して向かい風に変わり、その空気抵抗で変化球がよく落ちるとされている。佐々木朗希に並び、19個の1試合最多奪三振記録を持つオリックス時代の野田浩司氏の話が有名な例として挙げられる。その記録はこの球場で生まれ、風の影響でいつにも増してフォークが落ちていたという。
 梅野は、そのフォークとスライダーを効果的に配球した。
 116球中、最速153キロをマークしたストレートは49球で、フォークが33球、スライダーが25球、カーブが9球を占めた。
「ストレートもよくフォークが効いていた。カウント、空振りがとれた。四球がなかったのもでかかった」
 そう才木も振り返ったが、変化球をコントロールできていたのも大きかった。
 11連勝していたロッテ打線は、粘りが信条。連続サヨナラ負けした2試合では、阪神の投手が根負けして計15個もの四死球を与えていた。
 だが、才木は、3球勝負もどんどん仕掛けて無四球試合。21%を超える空振り率のあったフォークでバットに当てさせず粘らせなかったのである。

 関西へ帰るためスーツに着替えて報道陣の前に姿を現した岡田監督は、「才木に聞いたって。オレはもうええやろ」と、笑顔で第一声。
チーム打率.221と貧打に悩む阪神が勝つには、これしかなかった。
「何回目や?あいつが連敗止めたのは」
 連敗でスタートした開幕カードの巨人戦で3タテを阻止したのも、才木で、今季の連敗ストップは、これが4度目。1-0完封勝利も 5月12日のハマスタでの横浜DeNA戦以来、今季早くも2度目でシーズン2度の1-0完封は、球団では2014年にメッセンジャーが果たして以来、10年ぶりだという。また敵地でそれを成し遂げたのは、1969年の江夏豊以来、55年ぶりの偉業で今やチームで最も頼れるエースである。
「(球宴の)ファン投票1位の選手。一応は」
 岡田監督は独特の表現で才木の立ち位置を説明した。
「こういう試合に勝てているのはでかい。こういう勝ち方を続けていければいい」
 才木自身も自らに言い聞かせるように語った。

 

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