「2軍で打撃は目立つが迫力と覇気はない。そこが問題なら1軍復帰は程遠い」阪神の佐藤輝明と対戦したオイシックス橋上監督が感じた“サトテル”の現在地
阪神の佐藤輝明(25)が5月14日の中日戦後に2軍調整を命じられてから3週間が経過しようとしている。1軍が貧打に苦しみファンはサトテルの昇格を待ち望んでいるが現状はどうなのか。5月29、30日の2日間、ファームの交流戦で阪神と対戦した今季から新規参入したオイシックスの橋上秀樹監督(58)に戦った側からの観点で「佐藤の現在地」をどう感じたかを聞いてみた。
ファームでは打率.302、2本塁打、13打点
サトテルが阪神のラインナップから消えて約3週間。代役は相手投手に応じて渡邉と糸原が務め、その間のチーム成績は8勝8敗だが、1試合平均の得点は2.4点で、リーグ最低のチーム打率.221が示すように打線低迷が顕著。ファンの間からは、佐藤の1軍復帰待望論が渦巻く。佐藤はファームでは14試合に出場して打率.302、2本塁打、13打点の数字を残している。ただ一方で、6失策と守備でのミスも目立ち、その部分での課題は克服できていない。
その佐藤の姿は対戦相手にはどう映ったのか。
5月29日に三条、30日に新潟で行われたファームの交流戦で阪神と対戦したオイシックスの橋上監督に率直な意見を聞いてみた。
「打つ方はファームにいれば目立つよね。うちも2試合で4安打4打点と打たれたが、プレーにモチベーションの高さは感じなかった。それが彼のプレースタイルかもしれないが、覇気がない。いい打席と悪い打席の差が激しいなという印象を持った。昨年までの3年間の打撃に比べて、スイングがおとなしくなったね。いい意味で言えば、コンパクト。三振を減らして、ミート率を上げるために、そうしているのかもしれないが、迫力がない。彼の長所は長打。せっかくの良さを消さなくていいのなと思った」
2試合に「4番・三塁」で出場した佐藤は、1試合目に5打数2安打3打点、2試合目に5打数2安打1打点の活躍を見せて、いずれも9-2のスコアとなったチームの勝利に貢献した。
橋上監督が感じた「いい打席と悪い打席の差」の顕著な例は1試合目にあった。1回無死満塁のチャンスで、第1打席を迎えた佐藤は、防御率2.36を誇るオイシックスの左腕エース牧野憲伸に対して空振りの三振に終わった。初球のインハイのストレートに手を出してバットを折り、フルカウントになってからインローのストレートにバットが空を切った。
2回には、また一死満塁で打席を迎え、今度は初球の真ん中高めのストレートを叩き、その打球はセンターの頭上を襲った。背走したオイシックスの外野手のグラブをかすめて2点タイムリー二塁打となったが、橋上監督は、この打席に物足りなさを感じたという。
「牧野は変化球でストライクが取れずに佐藤は真っ直ぐ1本を待てる状況だった。彼の実力からすればホームランにしなければならない甘いボール。うちの外野手が目測を誤って二塁打になったが、1軍レベルであれば、捕球されていた。引っ張っていいボールだったが、引っ張りきれていない。2試合目に、右中間に三塁打を打っているが、残りの2本のヒットもセンター前だった。スイングがちょっと遅い。内側を引っ張りきれない理由は、そこにあるのかも。自分が思ったポイントよりも若干差し込まれているのかもしれない」