「井上尚弥を動揺させることができる」また1階級上のWBAフェザー級新王者ニック・ボールからモンスターに“挑戦状”
「ニックは、この12週間で2人の世界チャンピオンと戦ってきた。バルガスはフェザー級で最高峰の1人して広く認められているボクサーだ。フォード戦ではアンダードックとして扱われたが、彼は素晴らしい仕事をした。ニックは2人をこてんぱんにやっつけた。ヘンリー・アームストロングの時代以来、このようなボクサーは見たことがない。まして今のイギリスのボクシング界にそういうボクサーはいない」
陣営では、バルガスとの再戦を実現してフェザー級の2団体統一王者となった上で井上を待ち受けたいと考えている。
井上の転級を巡っては、IBF世界同級王者のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)が、自ら「ドリームファイト」と称したフェイクポスターを作ってXに投稿するなどして挑戦状を叩きつけている。
ロペスをプロモートしているトップランク社のボブ・アラム氏も、フェザー級転級の際の最有力対戦候補としてロペスの名前をあげていた。だが、井上がスーパーバンタム級に転級した際にWBCとWBOの2つのベルトを持っていたスティーブン・フルトン(米国)に挑戦したように、もしボールがフェザー級の2つのベルトを持っていれば、有力候補になるのは間違いない。
「ボクシング・シーン」も「誰もが認めるスーパーバンタム級のチャンピオン(井上)が最終的にフェザー級にステップアップした場合、ボールが“井上を126ポンド(フェザー級)で待っている男”になる可能性が高まっている」との見解を伝えた。
スティーブン氏は、こう夢を語った。
「井上とニックの2人は今ボクシング界で最高の存在だ。もちろん私たちも井上のような選手を目指しているが、2人のアプローチは似ている。決してナンセンスじゃない。彼はただ、そこに入り、ベストの相手(井上)と戦い、そして(我々は)戦いを見守る。その戦いでは井上とニックの心が通じ合うことになるだろう。それは素晴らしいことだよ」
だが、一方で井上は、まだフェザー級への転級は決断しておらず、転級を求める海外の世論や、上の階級のボクサーから次から次へと舞い込む挑戦状に対して、ある意味、気分を害している。
「それに関しては言いたいことが色々ある。スーパーバンタム級に敵がいないから(階級を)上げろ!というのもおかしい。そんなに対戦したいならおまえらが(階級を)下げてこいという話だし、ボクシングは階級制のスポーツなんだから自分にも限界はある。フェザー級にいく準備はしているが、そこ(いつのタイミングか)はまだなんとも言えない」
今なおパウンド・フォー・パウンド1位論争が噴出するなどしている井上の強さと、軽量級では異例とも言える高額なファイトマネーは階級の枠を超えて世界のボクサーの垂涎の的となっている。井上は9月に元IBF世界スーパーバンタム級王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)と防衛戦を行うことが濃厚だ。