パリ五輪バスケ代表候補の“超ホープ”富永啓生が明かす「パリ経由のNBA挑戦計画」…ネブラスカ大を卒業して帰国会見
チャンスを広げるうえで、サマーリーグは大きなウエートを占める。しかし、今後招待された場合でも、富永は代表活動を優先させると明言。憧憬の思いを抱くNBAへ「五輪経由」という新たなルートを歩む決意を新たにした。
「いまは日本に戻ってきていますし、今後は日本代表の活動に専念したいと考えています。来シーズンの所属先は決まっていない状況ですけど、いまの自分の考えはパリ五輪で活躍して、いろいろなチームからオファーをもらえれば、という感じになっています」
今夏のパリ五輪出場を決めている男子代表は、トム・ホーバス・ヘッドコーチ(57)のもとで、3日から東京都内で代表候補合宿をスタートさせている。招集されている24人のメンバーのなかには、もちろん富永も含まれている。
富永のもとには、他にもNBAの6、7チームから練習参加のオファーが届いていた。それでも前出の3チームにとどめたのは、スケジュールだけでなく別の理由があった。
「代表の合宿に参加したいと自分の意思で決めていました。代表に対する思いも強いので、ワークアウト(練習参加)は日本に戻るまでと、もともと決めていました」
21年の東京五輪には、3人制バスケットボールで出場した。しかし、いまは5人制で臨むパリ五輪へ、富永は「日本バスケットの新たな歴史を作っていきたい」とモチベーションをかき立てている。原点はパリ五輪切符を獲得した昨夏のW杯にさかのぼる。
同W杯では48年ぶりとなる自力での五輪出場権を獲得した。悲願達成までの軌跡を会場となった沖縄アリーナを支配したファンの熱気や興奮、そして代表のチームメイトたちと共有した、熱く太い絆を蘇らせながら富永は今後へつなげている。
「歴史的な快挙から1年がたち、代表の選手たちとまた一緒にプレーできるという意味で、この夏をずっと楽しみにしていました。五輪はやはり特別なものですし、これからの自分の人生のなかでも一生忘れられない時間になると思うので」
今シーズン限りでグリズリーズを退団し、プレーの舞台を日本へ移すと明言している渡邊と、日本へ帰国する前に話す機会があった。右足首の負傷を抱えながらW杯で日本をけん引した渡邊は、日本の次代を担う一人の富永へこんな言葉をかけたという。
「オレよりも長くNBAでプレーできるような選手になってくれ」
パリ五輪出場を決めたカーボベルデ代表とのW杯順位決定ラウンド最終戦で、8本中6本もの3ポイントシュートを決めた異能のロングシューターは近日中に代表合宿に合流。22日と23日に札幌市の北海きたえーるで予定されているオーストラリア代表との強化試合で、W杯後にさらに進化を遂げた姿を披露する。
(文責・藤江直人/スポーツライター)