これで本当にRIZINでは見納め?!なぜ堀口恭司は元Bellator王者を相手に3年越しのリベンジに成功したのか…「UFCのバンタム級では通用しない」の声には反論
総合格闘技イベント「RIZIN.47」が9日、代々木第一体育館で行われ、メインではRIZINの2階級制覇王者の堀口恭司(33、ATT)が元Bellatorバンタム級王者のセルジオ・ぺティス(30、米国)に3-0判定で勝利し3年越しのリベンジに成功した。堀口は終始試合を支配。最終ラウンドに一度だけテイクダウンを許したがピンチを脱出するなど圧勝。2021年12月に米国で対戦しバックハンドブローの一撃で敗れたぺティスにリベンジを果たした。試合後には、今年2月に結婚した元RIZINガールだった新妻の川村那月(31、本名・堀口直央)さんをリングに迎え入れて感謝の気持ちを伝えた。堀口は改めてUFCへの再挑戦を表明しRIZINのリングに上がるのは最後になる可能性を示唆した。
「誰だ!オレが負けると言った奴は?」
堀口が1万2576人で埋まった代々木体育館のリングで絶叫した。
「誰だ!オレが負けるって言った奴は?負けねえよ。この野郎!」
目線をリングサイドに向けて「榊原さん」とその張本人を指名した。
試合前に榊原信行CEOが「堀口が負ける」と予想していた。
「(勝って)絶対に言ってやろうと思っていた」という。
「(格闘家の方の予想)は全然、気にならない。でもプロモーターがそれ言っちゃうと『おい!』ってなる。ダリオン・コールドウェル戦の時も『負けるんじゃないか』みたいな感じで言っていた。でも、それで自分も火がつくんで。逆にすごい相乗効果みたいな感じで強くなれた」
インタビュールームのバックステージで榊原CEOとバッタリと顔を合わせた堀口は、もう一度、その話題に触れたが「リマッチを組んでくださりありがとうございました」という感謝の気持ちを忘れていなかった。
榊原CEOも、プロモーションを兼ねての発言だったようで「嫌味を言われた。リベンジを果たせてホッとしていると思うし、ぺティスも含めてハイレベルな試合をしてくれたことに感謝したい。負ける、負けると言いましたが、決して心から負けてくれと言ったわけじゃないことを理解してくれればいい」と説明した。
3年越しのリマッチに圧勝した。
第1ラウンドには左フックが側頭部にヒット。「バランスを崩しただけだ」とぺティスはヒザをついた。右のワンレッグタックルでコーナーに押し込み、ぺティスの打撃のミスを見逃さずにテイクダウンを奪い、上になってコントロールした。手を変え品を変え、パスガードを狙い続けたが、ぺティスは体を密着させて徹底防御してきた。
「ずっと抱き着いて守りに徹していた。あれをやられると決めるのは難しい」
それでも堀口はパウンドをコツコツと与えながらスキをうかがう。
よく動いた。フェイントを使い、右のオーバーハンドフックを打ち込み、そして距離にこだわった。通常のスタイルよりも半歩前に詰めてプレスをかけていた。
「距離をとらずに近場で勝負した。距離を取ると回転系の技が当たっちゃう。自分の方がスピードがあり、向こうは遅いんで、振り回す前に(中に)入る。スピン系(のパンチやキック)を狙ってきていたが、自分がそれをさせなかった」と試合後に戦略を明かす。
2021年12月のタイトル戦では、3ラウンドまで圧倒的にリードしていたが、4ラウンドのバックハンドブロー一発で失神、大の字になり逆転のKO負けを喫した。
ぺティスは、バックハンドブローやバックスピンなど回転系の打撃が武器のひとつ。それを封じるために、前回の戦いより距離をつめたのだ。
第2ラウンドは、ワンレッグタックルから投げを打ち、テイクダウンを奪うと、ほとんどの時間を上のポジションをキープして、ポイントを加算していく。
最終ラウンドを前にセコンドのマイク・ブラウンからは「打ち合わずに集中しろ!」との指示が飛んだ。心の中に棲む格闘家の本能がウズウズしていた。グラウンドの攻防では「シーンとしているな」と会場の雰囲気を感じ取った。ポイントで優勢であっても「格闘技は決めた方が盛り上がる。そこを目標にやっている」というプロの矜持がある。