堂安がシリア戦で体現した「モダンなスタイル」とは何だ?
「それ(ハードワーク)は最低限というか、自分的には現代サッカーのベースだと思っているので。監督がそのように評価してくれるのはもちろんうれしいですけど、オレからするとハードワークしないやつがダメと思うし、それをやらなければ試合には出られない。なので、プラスアルファでスペシャルなものを出す、と自分に言い聞かせています」
相手との実力差がある6月シリーズでも、ミャンマー戦でシャドーとして、シリア戦では右ウイングバックで連続ゴールを決めた。シリア戦の後半からは[4-2-3-1]にスイッチしたなかで、代表で主戦場としてきた右サイドハーフに移ってフル出場した。
ミャンマー戦ではサイドバックの菅原由勢(23、AZ)が右ウイングバックとして先発したが、2ゴールをあげた中村がいる左と比べてどうしても左右非対称となった。その意味でも前半の堂安は、森保監督に特別なインパクトを与えたはずだ。
2シーズン目を終えたフライブルクで、堂安は「守備の選手よりも守備がうまい、と言われます」と屈託なく笑う。新境地への挑戦が自信を膨らませている証だ。
「攻撃の選手なので、ボール保持者が何をされたら嫌がるのかがだいたいわかるし、そこから逆算してディフェンスをしている。ロングボールとかになると自分の弱さが出ちゃうところがあるけど、それでも臨機応変にプレーできればこれから生きていく上で、キャリアを積み重ねていく上で、ここがベストポジションになるかもしれない」
6月シリーズが消化試合となったなかで、日本は今後に待つ強敵との対戦を想定した、攻撃的な3バックをテストする絶好のチャンスを得た。本来ならば伊東純也(31、スタッド・ランス)が適任となる右ウイングバック探しで、攻守両面で一発回答を弾き出した堂安はオプションではなく、主軸の本命に躍り出る可能性を示した。
ちょうど2年後の2026年6月11日に開幕する、北中米W杯への第一歩となるアジア2次予選を6戦全勝、総得点24に対して日本代表史上で初めてとなる無失点で終えた。グループBを首位で通過した日本の視線は、すでに9月に開幕するアジア最終予選へ向けられている。18チームを3グループに分ける組み合わせ抽選会は27日に行われる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)