なぜ名門バイエルンは日本代表DF伊藤洋輝を4年50億6000万円の大型契約で獲得したのか?
ブンデスリーガ1部の名門バイエルン・ミュンヘンは13日、日本代表DF伊藤洋輝(25)を同1部のシュツットガルトから完全移籍で獲得したと発表した。2028年6月末までの4年契約で、移籍金は3000万ユーロ(約50億6000万円)。J2のジュビロ磐田から期限付き移籍でシュツットガルトへ加入して3年。シンデレラストーリーを完成させた左利きの万能DFは、新天地を通じて「世界有数のビッグクラブでプレーできることを、とても光栄に思っています」と第一声を発表した。
貴重な左利きのセンターバック
日本時間の日付が14日に変わった瞬間に、バイエルン・ミュンヘンの公式HP上で、笑顔を輝かせる伊藤の写真が突如として公開された。
伊藤が手にするバイエルンのユニフォームの背中には、こんな文字が躍っている。
<FC BAYERN MUNCHEN 2028 ITO>
世界を代表するビッグクラブのひとつであるバイエルンへ、伊藤が完全移籍で加入したと発表された瞬間だった。契約は2028年6月末までの4年間。移籍金は伊藤と2027年6月末まで契約を結んでいたシュツットガルトが、契約解除に伴う違約金として設定していた3000万ユーロ(約50億6000万円)が満額で支払われた。
公式HPでは新天地における伊藤の第一声がドイツ語で綴られている。
「世界有数のビッグクラブでプレーできることを、とても光栄に思っています。僕はシュツットガルトでは常に全力を尽くしてきましたし、クラブにはいまも感謝しています。それでも、新たな一歩を踏み出すときがきました。その意味でバイエルンは、僕にとって完璧なクラブです。いまは日本でも名高いバイエルンでの挑戦を楽しみにしていますし、多くのタイトルを獲得できるように自分の役割を果たしていきたいと思います」
ドイツメディアにとっても寝耳に水の伊藤の電撃加入だった。交渉が表面化したのは日本時間の13日の早朝。移籍市場に精通するイタリア人ジャーナリスト、ファブリツィオ・ロマーノ氏による自身のX(旧ツイッター)への投稿がきっかけだった。
「伊藤洋輝がバイエルン移籍で合意。残されているのはメディカルチェック」
同日の夕方には、さらに踏み込んだ情報を投稿のなかで明かしている。
「伊藤のバイエルン移籍に関する契約解除金が水曜日に正式に発動され、本日には書類が完成した。契約は確定。伊藤は24時間以内に正式にサインする」
2023-24シーズンのバイエルンはリーグ戦で3位に終わって連覇が「11」で途切れ、カップ戦やUEFAチャンピオンズリーグを含めて無冠の屈辱を味わった。新監督にアンデルレヒトとバーンリーを率いた、元ベルギー代表DFのヴァンサン・コンパニ氏(38)が就任。再建を託す新戦力の一人として、伊藤に白羽の矢が立てられた。
バイエルンの専門メディア『Bavarian Football Works』も、伊藤の加入を「バイエルンと結びつける噂は、これまでひとつもなかった」と驚きをもって受け止めながら、ドイツを代表する名門が25歳の日本代表DFを必要とした理由を分析している。