なぜ名門バイエルンは日本代表DF伊藤洋輝を4年50億6000万円の大型契約で獲得したのか?
磐田は翌2021シーズンもJ2が戦いの舞台となったが、伊藤は夏場にシュツットガルトへ期限付き移籍する。かつてセレッソ大阪でJ2を戦っていた香川真司を見いだした敏腕スカウト、スヴェン・ミスリンタット氏(51)に見いだされた伊藤だったが、当時はシュツットガルトのBチームで武者修行を積む青写真が描かれていた。
しかし、開幕へ向けたキャンプで高い評価を受けて計画が変更される。トップチーム帯同からレギュラー獲得、完全移籍への移行、2022年6月の森保ジャパンへの初招集、そして同年11月に開幕したカタールW杯出場と次々に階段を駆けあがり、ついには名門バイエルンの一員になる痛快なシンデレラストーリーを完成させた。
バイエルンの公式HPには、身長188cm体重84kgのサイズを含めた伊藤のプレースタイルを称賛し、今後の可能性にも言及している同チームのスポーツ・ディレクター、クリストフ・フロイント氏(46)のコメントも紹介している。
「長身の伊藤は非常にアグレッシブで、利き足の左足を駆使したパスのセンスに優れ、守備面も万能で中央でも左サイドでもプレーできる。彼は若くしてドイツに来て著しい成長を遂げたが、彼がさらなる可能性を秘めていると私たちは確信している」
初招集からコンスタントに招集されている森保ジャパンでも、直近の6月シリーズではミャンマー戦で3バックの左センターバックでフル出場し、シリア戦では4バックにスイッチした後半から左サイドバックとしてそれぞれプレー。シリア戦翌日の12日にはドイツへと戻り、メディカルチェックをへて契約書に正式にサインした。
いま現在の森保ジャパンではDF冨安健洋(25、アーセナル)、そしてキャプテンのMF遠藤航(31、リバプール)に続いて、ヨーロッパ5大リーグのビッグクラブに所属する選手が誕生した。次の活動となる9月シリーズから始まるアジア最終予選へ向けて、伊藤が実力で手繰り寄せたバイエルン入りはポジティブな効果をもたらすはずだ。