9度目完封負けの阪神は今からでも「第3の外国人野手」を緊急補強すべきなのか…異変が起きた阪急阪神HD株主総会で「なぜ新外国人を獲得しなかったのか?」の辛辣な質問が飛ぶ
阪急阪神ホールディングスの定時株主総会が14日、大阪市内の梅田芸術劇場で行われ、株主の1人が新外国人を獲得しなかった理由を質問する一幕があった。不振で2軍落ちしていたシェルドン・ノイジー(29)を昇格させたチームは、敵地での交流戦のソフトバンク戦に0-2で敗れた。チャンスは作ったがタイムリーが出ず今季9度目の完封負けを喫して、2年連続の交流戦負け越しが決まった。阪神は今からでも新外国人を緊急補強すべきなのか。
宝塚歌劇団の問題で紛糾した異例の株主総会
タイガースの“風物詩”とも言える株主総会に異変が起きていた。
議長を務めた角和夫会長が、昨年9月に宝塚歌劇団の劇団員がパワハラを苦に25歳で命を絶った問題について謝罪、出席した取締役全員が、その場で深々と頭を下げる異例のスタート。嶋田泰夫社長が今後の再発防止策について説明し、株主からの質問、意見も、この宝塚歌劇団関連のものがほとんどを占めた。途中、怒声が飛び交う、大荒れの総会となり、タイガースに関する質問が飛び出したのは、約1時間が経過した13人目だった。
例年は「阪神電車の特急のカラーを巨人をイメージさせるオレンジ色から変えろ!」や「外国人の補強失敗の自虐本を出版したらどう?」などというユニークな質問から、その年の成績に応じて、監督やコーチの交代を要求する辛辣な意見まで、必ずタイガースが主役となる。他企業の株主総会では見られない、笑いあり、怒りありの“タイガース劇場”が展開されるのだが、今年は明らかに様相が違っていた。
タイガース関連の質問をするために来たという48歳の男性の株主が訴えたのは、外国人問題。
「ハッキリと言いますけど、なんで新しい外国人を取らなかったのでしょうか。今現在、ノイジーとミエセスがいますけど(昨年)全然成績がよくはなかったんですが、なんで使っているのか不思議でなりません」
来日2年目のノイジーは、偶然にも、この日、1軍昇格したが、ここまで打率.244、1本塁打、8打点と調子が上がらず、5月27日に2軍落ちしていた。同じく2年目のミエセスも、故障もあって開幕は2軍からスタート。ここまでヒットはわずか2本しか打てずノイジーに代わって再び2軍落ちしている。
回答したのはオーナー代行の谷本修氏。
「いつも熱い応援をいただきましてありがとうございます。新しい外国人、助っ人の外国人ですが、ゲラという抑えと、育成の選手を2人獲得しました」
谷本氏は、フロントは何もしていないわけではなく、ゲラとベタンセス、マルティネスという2人の24歳の育成契約の投手をドミニカ共和国から獲得したことを強調した。だが、Wストッパーとして起用されたゲラも、3試合連続失点で2軍落ちしている。そして肝心の野手は獲得していない。
谷本氏は、「ノイジー、ミエセスにつきましては、まだまだ年齢が若い選手で可能性を秘めた選手であるという判断を監督、フロント共にしておりますので、これからの活躍に期待していただければと思います。よろしくお願いします」と続けた。
上げ足を取るつもりはないが、ノイジーは今年12月に30歳になる選手。別に若くもない。ミエセスはまだ経験不足で伸びしろに期待が持てたため、昨年の6月の時点で、早々と残留が決定していた。だが、ノイジーに関してはオールスターの時点では解雇の方針だった。
だが、8月、9月と成績が右肩上がりとなり、日本シリーズでは、打率.250、2本塁打、5打点の大活躍を見せ優秀選手賞を獲得したため、急転、残留となった。ただし年俸は異例のダウンとなり「バットを寝かせる打撃フォームを修正すること」が条件としてついていた。
岡田監督は「ノイジーは保険や」ととも話していた。
外国人を増やせば、チームが育てたい若手野手の出番を奪うというジレンマが生まれる。岡田監督は、矢野監督からバトンを受け継いだ時点での外国人7人体制を問題視していた。だが、ミエセスの伸びしろが未知数で、キャンプに来たノイジーが岡田監督の出した条件に従わずにバットを寝かせて打っていたことなどの誤算を考えると、不測の事態に備えて、第3の外国人野手を用意しておく必要があったのではないか。