「町田ゼルビアは決して悪ではない」黒田監督が“ジャイキリ”許した筑波大後の発言を撤回しなかった理由とは…先発全員を入れ替えて横浜F・マリノスに逆転勝利
筑波大戦の翌日はクールダウンにあてられ、翌々日はマリノスの特徴を頭に叩き込む時間にあてられた。練習がほとんどできない間にも、さまざまな批判が聞こえてくる。天皇杯でベンチ外だったキャプテンのDF昌子源(31)は、マリノス戦の開始直前に組んだ円陣で「怪我をした彼らの思いも背負って、絶対に勝とう」と声をあげた。
「それ(批判)については、僕たちからはなかなか言えないところがある。それでも僕たちは、怪我をしてしまった彼らの分も背負って戦うしかない。マリノス相手に苦しい時間帯は多々あると思っていたけど、その苦しさというのは、怪我をして大好きなサッカーができない4人に比べれば、なんてことのない苦しさだと思うので」
百戦錬磨の昌子が説いたのは、痛みと闘う仲間たちへ届ける思いだけではなかった。怪我人が続出した非常事態で、リーグ戦では約2カ月ぶりに先発したMFバスケス・バイロン(24)は、円陣で昌子が飛ばした檄をこう明かした。
「いろいろと世間で騒がれているが、ここで(厳しく)いかなかったらもうオレたちじゃないと。そんなプレーじゃ絶対に勝てないと、源くん(昌子)は鼓舞してくれた」
12日の天皇杯の先発メンバーから10人を入れ替えたマリノス、全員を主軸に入れ替えた町田の激突は14分にマリノスが先制した。接触プレーで町田の選手1人が転倒し、シュートブロックに飛び込めなかった隙を突いて左サイドから突破したFW宮市亮(31)が、ゴール右隅を鮮やかに射抜く今シーズン初ゴールを決めた。
町田も前半終了間際の43分にセットプレーから追いつく。右タッチライン際で獲得した直接FK。ボランチの下田北斗(32)が放ったクロスを、ニアでパリ五輪代表候補のMF平河悠(23)がシュート。こぼれ球を昌子が押し込み、鹿島アントラーズ時代の2018年11月24日のベガルタ仙台戦以来、2030日ぶりとなるJ1リーグでのゴールを決めた。
さらに町田は後半12分、敵陣の中央で相手ボールをカットした平河がカウンターを発動させ、スルーパスにペナルティーエリアの右側でバスケスが反応。ゴール前へ送ったクロスを、同じくパリ五輪代表候補のFW藤尾翔太(23)が左足で押し込んだ。