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就任1年目の楽天の今江監督が覚悟を持って崩壊寸前のチームを立て直した(写真・黒田史夫)
就任1年目の楽天の今江監督が覚悟を持って崩壊寸前のチームを立て直した(写真・黒田史夫)

なぜ交流戦初優勝の楽天は借金「9」→「0」のV字回復を果たせたのか…今江監督の采配と4つの数字「37、2.29、21、12」が物語る理由とは?

「先発だけでなく中継ぎがしっかりとしていた。特にデータを洗い直したのか、ストライクで勝負する傾向が顕著にみられるようになった。3球勝負も多かった。それを象徴するのが与四球数の減少だろう。技術うんぬんより首脳陣がアプローチした意識の変化の結果だと思う」
 楽天の交流戦での与四球数は37で、中日の35に次ぐ2位の数字。四球で自滅するパターンを解消した。先発陣では藤井が3勝、3試合に先発した早川は、勝ち星こそ1勝だが、交流戦の防御率は0.39。内も防御率1.06で2勝、またドラフト1位のルーキー古謝も8日の中日戦でプロ初勝利をマークしている。中継ぎ陣では酒井が無失点で、宋、鈴木翔が防御率1点台をキープするなど、今江監督も「この位置にいれたのはピッチャー陣のおかげだと思う」と口にしている。
 得点力不足が指摘されていた打線もV字回復した。
 チーム打率.253、得点67は、交流戦4位の数字。池田氏は、1日のヤクルト戦からの鈴木大地の4番抜擢と、不調だった浅村を4日の阪神戦から6試合連続でスタメンから外した今江監督の2つの英断が転機になったと見ている。
「就任1年目で試行錯誤していた今江監督の覚悟が起用法に出た。経験のある4番に鈴木を抜擢することで、つなぎ、全員野球を浸透させ、チームの顔とも言える浅村を思い切って外したことで、どこか甘えのあったチームにピリっとした緊張感を与えたんだと思う。その雰囲気の中で小郷らの若手が出てきたのも大きい」
 トップバッターに定着した小郷は5日の阪神戦では9回に虎のストッパーの岩崎から起死回生の逆転2ラン、11日の巨人戦ではサヨナラ打を放つなどブレイク。小郷、村林、辰巳、鈴木大地まで1番から4番の打順を固定できたことで打線につながりが生まれた。
 また犠打21は、交流戦1位の数字。盗塁12も2位タイだ。
「今江監督は、まずは得点圏にバントで進めるということを徹底していた。そして辰巳、小深田、小郷が塁に出ると怖がらずに初球から走らせた。いわゆる確率を重視したスモールベースボール。動かないと勝てない、何かしなければ勝てない、という意識を選手に植え付けた。これも打線が機能した理由だと思う」と池田氏。
 辰巳は5盗塁、小深田は4盗塁をマークしている。
 交流戦で優勝したが、パ・リーグでは現在4位。首位のソフトバンクには引き離されているが、3位のロッテとは2ゲーム差、2位の日ハムとは2.5ゲーム差だ。
 池田氏は「Aクラスを射程圏にとらえたと思う。交流戦で若い選手が自信をつけ、覚悟を決めた今江監督の采配にも、1本芯が通った。投手陣が整備されているので大崩れすることもないと思う。後半戦の台風の目になることは間違いない」と評価する。
 今江監督は気を引き締める。
「まだまだ発展途上のチーム。交流戦はいい形で終えたが厳しい戦いがリーグ戦ではくる。しっかり準備したい」
 21日から再開するリーグ戦は敵地での日ハム戦からスタートする。3連勝すればAクラス浮上だ。

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