岡田阪神はトレードに動くべきか(写真・黒田史夫)
岡田阪神はトレードに動くべきか(写真・黒田史夫)

岡田阪神は緊急トレードに動くべきか?

「今こういう状況だからこそトレードなどに動いちゃいかん。チーム内で、そういう噂が出るだけで、チーム内がごたつくものだ。去年の阪神の優勝はフロックではない。選手ひとりひとりを見れば素材は申し分ない。岡田も考えているだろうが、2軍で調整中の大山は、コーチがなんとか元に戻してやらねばならないし、佐藤、森下は、さらにレベルをアップさせて本当の主力に育てることが先決だ。前川というセンスのいい左打者も出てきた」
 広岡氏は、緊急トレードによる目先の補強に目を向けるよりも、2軍落ちしている大山を復活させ、伸び悩んでいる森下を主力に育て、7日の西武戦から昇格させたが、プロ4年目の壁にぶち当たっている佐藤をひと皮むけさせて、売り出し中の前川にチャンスを与えることが必要だと説く。
「外国人も今のアメリカにはろくな選手がいない。日本球界でたらいまわししているのが現状じゃないか。岡田は、かつての巨人みたいにFAに目を向けることなく生え抜きのチームを優勝に導いた。ドラフト1位がスタメンの4人を占めたことを忘れるな。若い選手はぐんぐん伸びるけれど壁にもぶつかる。だから監督、コーチが根気強く教えることが大切になってくる。ただ阪神や巨人は日ハムなんかと違って選手を育てることにファンや周囲が目をつぶってはくれない。日々勝負がかかっているだけに、やみくもに使い続けることもできないだろう。先につなげる経験と、先につなげる練習が重要。いい選手はいい練習をしているものだ。それをコーチが教えなければならない」
 広岡氏は、今阪神に必要なのは、コーチの指導力と「初心に返り基礎練習を徹底することだ」と主張する。
「交流戦では大きく負け越したが、岡田が整備した投手力はセ・リーグを見渡しても群を抜いている。まだシーズンは長い。ここからどう立て直すか。岡田が、阪神史上初という連覇を果たして大監督になるために与えられた試練だ」
 広岡氏が指摘するように交流戦のチーム防御率2.48は全体の4位。Wストッパーのゲラが、3試合連続の失点で2軍落ちする誤算はあったが、2軍で調整中だった伊藤将が7日の西武戦で昇格即今季3勝目をあげるなど明るい材料はある。しかも交流戦で6勝11敗と負け越しながらも、貯金1をキープ。セ・リーグでは首位の広島に3ゲーム差の2位につけている。今日18日の日ハムとの交流戦最終戦(甲子園)に勝てば貯金2でリーグ戦の再開を迎えることができる。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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