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MVP争いのライバルだったベッツの骨折離脱で大谷が模擬投票や予想オッズでトップに浮上(写真・山口裕朗)
MVP争いのライバルだったベッツの骨折離脱で大谷が模擬投票や予想オッズでトップに浮上(写真・山口裕朗)

大谷翔平が違法ではない合法ブックメーカーのMVP予想オッズでトップに浮上…ベッツの故障離脱でMLB公式の模擬投票でも1位に

 ドジャースは、ムーキー・ベッツ(31)の左手骨折による離脱の衝撃に見舞われたが、MVPレースで大谷翔平(29)が1位に躍り出た。MLB公式サイトの模擬投票でベッツを抜き、ブックメーカー「betMGM」の予想オッズでも2.85倍で1番人気となった。大谷は17日(日本時間18日)に敵地でのロッキーズ戦に「1番・DH」で出場し、2本の二塁打を含む5打数3安打1打点、2得点、1盗塁、1四球の活躍で9―5勝利に貢献した。チームメイトの怪我でMVP候補に押し上げられるのは大谷にとって本意ではないだろうが、3度目のMVP獲得の可能性が高まってきた。

 「大谷がMVP模擬投票のトップでも誰も驚かない」

「不動の1番打者」ベッツの代役を大谷が見事に果たした。
 ベッツが死球を受けて左手甲を骨折するという衝撃に見舞われた前日のゲームからデンバーに移動したロッキーズ戦で、デーブ・ロバーツ監督は、大谷を「1番・DH」で起用。大谷は2回二死二塁からの第2打席に、先発のキャル・クワントリルが投じたスプリットが抜けたものをライト前へタイムリー。2-0とリードを広げ、続く2番に入ったウィル・スミスのライト線を破る三塁打で一気にホームに生還した。
 4回一死走者なしの第3打席は右中間二塁打。6回も一死走者なしで2番手のジェーク・バードから逆方向のレフト線に二塁打。5-1で迎えた8回には、先頭打者として四球で出塁して、続くスミスの打席で初球に盗塁を決めた。VTR検証(チャレンジ)を求められたが結果はセーフ。二死満塁となってヘイワードのライト前のタイムリーで、この日、2得点目となるホームを踏んだ。
 ベッツの穴は、大谷が十分すぎるほどの結果で埋め、ショートのポジションは、ミゲル・ロハスが任され、9-5と快勝。
 MLB公式サイトによると“ベッツショック“を全員で乗り越えた勝利にロバーツ監督も「今夜は今まで見たことのないほどの戦いだと思った」と感激していたという。
 その一方でベッツの長期離脱が濃厚となったことからMVPレースで大谷がトップに浮上した。MLB公式サイトは、42人の 専門家による模擬投票の6月の中間結果を発表。大谷が4、5月と過去2回の模擬投票で1位だったベッツを抜き、1位票を25票獲得して1位となった。5月はベッツが23票で大谷が18票で2位だった。
 同サイトは「大谷がこのリストのトップに躍り出たことに本当に驚いている人はいるだろうか。かつてないほど素晴らしい(働きをしている)大谷が今季はフルで健康なシーズンを送ることが予測可能になっている。チームメイトのベッツが、手の骨折でしばらく離脱している今、大谷が3度目のMVPを獲得し、殿堂入りしているフランク・ロビンソン以来、史上2人目の両リーグでのMVP獲得選手となり、15人目の2年連続のMVP獲得者となる可能性が大きく開かれている」と評価。
 2021、2023年とエンゼルス時代に2度ア・リーグのMVPを獲得した大谷がナ・リーグで3度目となるMVPを獲得すれば、通算586本塁打、2943安打を誇るロビンソンが1961年(レッズ)、1966年(オリオールズ)に両リーグでMVPを獲得して以来の快挙となる。
 また大谷が現在、打率.309、19本塁打、OPS.976、bWAR3.5などでリーグの上位にいることを紹介した上で、こう称えた。
「彼は得点(53)、RC(66)、総塁打(165)の3つの重要なカテゴリーでトップに立っている。これは彼が多くの塁に出て、物事を成し遂げていることを意味し、それは野球やMVP賞を獲得するための重要な要素だ。彼はシーズンを通してドジャースで最も安定した打者の1人であり、4月5日以降、彼の打率は.300を下回っておらず、初の30(本塁打)ー30(盗塁)のペースで進んでおり、もし盗塁のペースが上がれば40(本塁打)ー40(盗塁)のチャンスもある」

 

 模擬MVP投票の2位はブライス・ハーパー(フィリーズ)の9票、3位がマーセル・オズナ(ブレーブス)の6票、4位がウィリアス・コントレラス(ブリュワーズ)の1票でベッツは5位まで後退した。
 ベッツの逆転MVPの可能性については「ベッツは負傷するまで2度目のトロフィー(MVP)への道を順調に進んでいたのは確かだ。負傷当時にbWARはナ・リーグ2位の3.5であり、打率.304、出塁率.405、OPS.892、総出塁数138で上位にいた。過去にかなりの試合数を欠場した選手が、MVPを受賞した前例(ブレット)があるが、今シーズンの争いを考えるとベッツは急な坂道を登らねばならないだろう」と厳しい見方を記した。
 1980年には、ロイヤルズのジョージ・ブレットが故障で45試合を欠場したにもかかわらずMVPを獲得した例があるという。
 同サイトは「大谷はチームメイトに畏敬の念を抱かせるような好調を続けられることを何度も示してきた。もし彼が今後数か月で熱気を帯びる好調を見せればMVP賞は彼のものになるかもしれない」という言葉で締めた。ちなみにア・リーグは、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が38票を集め、チームメイトのファン・ソトを抜き、1位となっている。
 また米ヤフースポーツは、大谷を巻き込んだ水原一平被告のスキャンダルで注目を浴びることになったブックメーカーのMVP予想オッズで、大谷がトップに躍り出たことを伝えた。
 betMGMのオッズを紹介したもので、ベッツが故障する前の時点で大谷のオッズは+425(5.25倍)だったが+185(2.85倍)に跳ね上がり、1位のベッツは+2500(26倍)まで後退した。ちなみにこちらは違法ではなく合法なブックメーカー。
 同サイトは「大谷はたとえチームメイトが健康だったとしてもベッツを追いかけることができたかもしれない。打率.309、19本塁打、46打点、15盗塁を記録し、今季は肘の負傷で登板できないが、打者としては十分な実力を発揮しており、MVP獲得の戦力を取り戻している。一方で対抗馬も少ない。その一因はブレーブスのスターたちの苦戦にある。昨シーズンのMVPに輝いたロナルド・アクーニャJr.は、前十字靭帯を完全断裂する重傷を負い、マット・オルソン、オースティン・ライリー、マイケル・ハリスらはMVPの基準以下の成績だ」と分析した。
 オッズの2位はMLB公式サイトの模擬投票と同じくハーパーで+325(4.25倍)、3位がフェルナンド・タティスJr.(パドレス)とオズナが並び+900(10倍)、大谷の同僚のフレディ・フリーマンが5位で+1400(15倍)、6位がコントレラスの+1800(19倍)となっている。 
 同サイトは「ハーパーはMVPの候補に残っておりタティスJr.も好調。オズナもその一人であり、他の打者が台頭してくる可能性もある」と含みを残したが、大谷のMVPオッズは、シーズンが進むにつれ、さらに跳ね上がりそうだ。

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