ギャンブル?根拠ある走塁?サヨナラ劇の裏で岡田阪神に現れた3つの変化…4番復帰した大山悠輔はマルチ安打
「あの四球はいかん。二死二塁なら代えていなかった」
岡田監督が何かを察知。現役ドラフトでオリックスから来た右腕は、5-4-3の併殺打でピンチを切り抜けた。
そして9回は岩崎ではなく「今日は9回を行こうと決めていた」と石井を送った。
先頭の牧にセンター前ヒットを許したものの、宮崎、筒香、山本を圧巻の三者連続三振。チームに流れを呼び込むピッチングだった。それはゲラに代わって岩崎、石井のWストッパーが、新たな武器してブルペンに加わった瞬間でもあった。今季初勝利でプロ2勝目。お立ち台に指名された石井は、「先頭を出してしまったが、何とか粘って、牧選手をしっかりとケアしながら、その後を抑えられたのでよかった。空振りもしっかり取れて(ストレートは)すごくよかった」という話をした。
打率2割を切り、自ら直訴して2軍落ちした大山は、この日、「4番・一塁」で戦列に復帰して2安打をマークした。明らかに違っていたのは、その打撃フォーム。頭の位置が動かず、体ごと突っ込んでいかないので、いわゆるボールとの距離が取れるようになっていた。
岡田監督は、「最初に2本出たから気分的にもだいぶ楽になったと思うんだけど、まだまだこれから。帰って来てくれたというか、本当はずっといないといけないところ」と、慎重だったが、悩める4番打者の不振脱出の準備は整ったと見ていい。
試合前のミーティングで野手にハッパをかけたももの、打線は、結局、このサヨナラの1点しか奪えず根本的な問題解決にはならなかった。だが、走塁への意識、石井のWストッパー、そして4番大山の復帰と3つの変化が阪神に備わった。しかも、ここまで負けが続いていたカードの初戦を取れたのは大きい。
岡田監督は、「守り勝ったというより、しのいだという感じ。点を取れないのが続いているので(チーム状態が良くなったと言うのは)点を取ってから」と厳しめに振り返りつつも「今日の勝ちも。勝ち負けというのは非常に大きい」と、カードの初戦に好スタートを切れたことの価値だけは認めた。3連勝で貯金は3となり、首位の広島が中日に完封負けしたことで、ゲーム差は1.5差に縮まった。
今日22日の横浜DeNA戦は、伊藤将と東のマッチアップ。また1点を争うロースコアの展開になりそうだが、岡田阪神には、接戦を勝ち切る勝負強さを取り戻しつつある。