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首位カーブを下して5カードぶりのカード勝ち越しを決めた中日の立浪監督が、試合後に2人の元阪神戦士を「見習って欲しい!」とコメントした(資料写真・黒田史夫)
首位カーブを下して5カードぶりのカード勝ち越しを決めた中日の立浪監督が、試合後に2人の元阪神戦士を「見習って欲しい!」とコメントした(資料写真・黒田史夫)

なぜ中日の立浪監督は「2人の元阪神戦士を見習え!」と発言したのか…板山と山本の貢献で首位の広島に2-1勝利しカード勝ち越し

 中日が23日にバンテリンドームで行われた広島戦に2-1で勝利し5カードぶりのカード勝ち越しを決めた。8回のオルランド・カリステ(32)の決勝タイムリーで、3番手の松山晋也(24)にバースデー勝利がついたが、試合後に立浪和義監督(54)が「見習え!」と称えたのは、先制タイムリーを放った板山祐太郎(30)と途中出場の山本泰寛(30)の元虎戦士の2人。なぜ指揮官は2人を称えたのか。

 

 お立ち台に指名されたのは8回に決勝タイムリーを放ったカリステと24歳のバースデーに今季2勝目を手にした松山だった。試合後に立浪監督は、そのカリステを「勝ちにつながるバッティングをここのところ多くしてくれる。相手からしたら嫌な1番バッターの存在になりつつある」と称えたが、「レギュラーメンバーも見習え!」と名前を出したのは、板山と山本という元虎戦士の2人だった。
 先制点を叩きだしたのは左腕の玉村に対して「2番・二塁」で今季9試合目のスタメンに抜擢された板山だった。
 3回に中日ベンチが動く。無死一塁から松葉の打席で、三塁の小園がかなり前に出てきたのを見た立浪監督が3球目にバスターエンドランを仕掛けた。松葉がバットに当てた打球は、ショートの前に転がり、アウトになったが、走者を二塁へ送ることに成功。二死となってから板山に打順が回ってきた。初球はインハイへ抜けたストレート。板山は続く2球目の外角へのスライダーをセンターへ運んだ。
 立浪監督は、この打席を絶賛した。
「1球インサイドに抜けたボールの後のスライダーですかね。読みも含めて思い切りといいましょうか。毎日、試合に出ている選手ではないけれど、ああいうバッティングというのはウチには欠かせない存在」
 立浪監督が称えたのは、その配球の読みだ。玉村は、平均して40%がストレート、30パーセントがスライダー、17パーセントがチェンジアップという球種配分の投手。ストレートを待って変化球に対応できればいいが、そのスキルが不足しているのであれば、どちらかに絞る必要がある。立浪監督のいう「思い切り」「踏ん切り」だ。それを見事に体現したのがスライダ板山だった。
 立浪監督は、さらにこう続けた。
「レギュラーとして出ている選手ももっとね。あの踏ん切りといいましょうかね。ぜひ板山とか、山本とかをもっと見習って続いて欲しい」
 山本の名前を付け加えた。
 4回に上本の三遊間の打球に飛び込んだ村松が左肩を脱臼。代わって途中出場した、もう一人の虎戦士である山本も、5回の第1打席に2球目の甘いシュートを芯でとらえた。フェンスに張り付いた上本にジャンプ一番のファインプレーで阻まれたが、8回には、先頭打者として島内から粘り強く四球を選んで出塁。カリステの決勝タイムリーにつなげている。ボール3からストライクを2つ続けられフルカウントとなってから1球ファウルで粘って四球を奪いとった。
 立浪監督を沖縄キャンプで取材した際、優勝した阪神打線にあるファウルで粘る技術の重要性をこう説いていた。
「ウチの打者は追い込まれてから1球、2球、粘ることができない。意識の差もあるかもしれないが、やっぱり技術の差なんです。追い込まれてからもぎりぎりまでボールを見て難しいボールをファウルにしながら、チャンスボールを待つことができない。タイミングが取れていないとボールの見極めができません。チャンスで、あと1本(ヒットが)出れば、ウチも点が入ったという場面も多くありましたが、それが出ませんでした。なぜチャンスで打てないかというと、技術がないからなんです。単純に速いストレートで攻められると打てない。これも技術なんです。ストレートを狙って仕留めにいくと変化球ですかされる。たまたま打てないんじゃない」
 その技術と技術をカバーするための配球の読みが、元阪神の2人にはある。立浪監督が「見習え!」とした点は、チーム得点がリーグワーストの163、チーム打率が5位の.231と苦しむ打線を立て直すためには重要なポイントなのだ。

 

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