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57歳の三浦知良が国立競技場でJFLのアトレチコ鈴鹿への入団を発表した
57歳の三浦知良が国立競技場でJFLのアトレチコ鈴鹿への入団を発表した

なぜ57歳の三浦カズは“命の危険”を覚悟の上で現役続行を決めたのか…国立競技場でアトレチコ鈴鹿入団会見

 日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿は25日、FW三浦知良(カズ、57)をJ2の横浜FCから期限付き移籍で獲得したと発表した。契約は来年1月末までで、背番号は日本代表時代を含めて愛着の深い「11」に決定。同日に東京・国立競技場で記者会見に臨んだカズは、2022シーズンに所属した鈴鹿への復帰に「辞めるという選択は、僕のなかにはない」と言及した。一方で心臓に負担がかかると懸念し、検査を受けたとテレビ番組内で明かしていたカズは、なぜ命の危険を覚悟の上で現役を続けるのか。

「辞めるという選択は、僕のなかにはない」

 ポルトガル2部リーグのオリヴェイレンセへの期限付き移籍を終え、帰国してから1カ月あまり。世界でも稀有な57歳の現役選手、カズの新天地が決まった。
 J2の横浜FCが引き続き保有権をもったまま、2022シーズンもプレーし、55歳259日のJFL最年長ゴールを決めた鈴鹿への期限付き移籍。聖地・国立競技場内で記者会見に臨んだカズは、鈴鹿への復帰を決めた理由をこう語った。
「一番に考えたのは(試合への)出場時間でした。もちろん保証されているものではないし、実際にどれだけ出られるかもかわりませんけど、可能性というものを考えたときに、選択肢のなかでもっとも可能性が高いと思えたのが鈴鹿でした」
 現時点で2022年11月12日のJFL第29節、FC大阪戦でダイビングヘッドから決めたゴールが最後になっている。翌2023年1月に、横浜FCが経営権を取得したオリヴェイレンセへ期限付き移籍。当初の半年間の契約を自身の希望でさらに1年間延長したが、リーグ戦では計9試合に出場して無得点に終わっていた。
「向こうでは僕の名前や年齢は関係なく、監督も選手も忖度なしに接してくれた。アンチエイジングという言葉はあまり好きじゃないけど、監督から厳しい言葉をかけられ、選手たちもハードワークしてきた練習で、精神的にも若い感じでいられた」
 出場機会を得られず、ゴールも決められなかったポルトガルでの日々で悔しさを募らせながらも、逆に情熱は衰えなかったと振り返ったカズはさらにこう続けた。
「こうした状況のなかでも、辞めるという選択は、僕のなかにはない。この情熱をどのように表現できるか、という点も考えたときにも、やはり鈴鹿がベストでした」
 カズが前回プレーしたときと、鈴鹿はすべての面で大きく変わっている。
 ガバナンス上の問題が発覚していた旧経営陣から昨年10月に、日本障がい者サッカー連盟のパートナー企業を長く務めている株式会社共同(本社・東京都新宿区)が全株式を取得。名称も鈴鹿ポイントゲッターズからアトレチコ鈴鹿に改められた。
 新たにオーナーとなった共同の斉藤浩史社長(53)は元プロサッカー選手で、東京ヴェルディの前身、読売クラブではカズの後輩だった。当時からカズと親交を続ける斉藤氏は今年1月と4月にポルトガルを訪れて、カズを迎え入れたい意思を伝えた。
 前回はカズの実兄、三浦泰年監督(58)が代表取締役とGMを兼ねていた。しかし、今年2月の開幕直前に、指導方法に悩みを抱えているとして三浦監督が突然辞任。来たる7月1日付けで、京都パープルサンガおよびヴィッセル神戸時代のカズのチームメイトで、その後も親交を温めていた朴康造氏(44)の新監督就任が決まっている。

 

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