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陸上の日本選手権に初出場した16歳のドルーリー朱瑛里は1500m決勝に進んだものの7位に終わった( 写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
陸上の日本選手権に初出場した16歳のドルーリー朱瑛里は1500m決勝に進んだものの7位に終わった( 写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

16歳の“逸材ランナー”ドルーリー朱瑛里の本当の実力とは?初出場の日本選手権では1500m決勝に進むも7位に終わる

 パリ五輪の日本代表選考競技会を兼ねる第108回日本陸上選手権の2日目が28日、新潟のデンカビッグスワンスタジアムで行われ、1500m決勝に話題の女子高生ランナーが登場した。高校2年生、16歳のドルーリー朱瑛里(津山高)だ。

 「不甲斐なさというか悔しさが残るレース」

 ドルーリーは前日に予選1組に出場。序盤から果敢な走りを見せると、後半は決勝進出圏内の6番手をキープした。最後は予選落ちとなる7番手との差を確認しながら、余裕を持ってゴールを駆け抜ける。自己ベストに迫る4分16秒69の6着で予選を通過した。
 レース後は多くの報道陣に囲まれたが、本人に浮かれた様子はまったくなかった。メディア側も増田明美さんの「お勉強では何が一番得意ですか?」という問い以外は競技に関する質問だけだった。
 ドルーリー本人は、「しっかりついて行っての6番以内を目標にしていました。調子がいいので明日につながる走りができたかなと思います。決勝でも自分の走りに集中して、まずは自己ベストを更新して、いい結果を残せるように頑張りたいです」と話していた。
 そして迎えた28日の決勝ではイメージ通りの走りができなかった。
 レースは東京五輪8位入賞の田中希実(New Balance)がオープン参加の外国人選手2人と競り合うように進み、400mを63秒、800mを2分07秒で通過。他の日本人選手は序盤で引き離された。
 田中は4分01秒44の好タイムで5連覇を達成。パリ五輪の参加標準記録(4分02秒50)を突破して、日本代表に内定した。一方のドルーリーは終盤のスパートでうまく乗り切れず、4分18秒16で7位。予選よりタイムを落として、フィニッシュした。
「位置取りも良く、気持ちよく1000mは通過できました。でも、課題にしていた残り300mからの切り替えができず、ラストは伸びずに終わってしまった。不甲斐なさというか悔しさが残るレースになりました」

 ドルーリーにとって初めての日本選手権は悔しい結果になった。
 日本選手権はU20日本選手権と同時開催しており、16歳のドルーリーはU20日本選手権に出場できる権利があった。それでもシニア選手と走ることを選んだのは、「今後につなげていけるようにするため」だという。「高校生やジュニアの大会とは違った雰囲気で臨めるので、それもいい経験のひとつかなと思います。自分の走りがまたひとつ成長できる機会だと思うので、こういった大会に出場できることに感謝したいです」と日本選手権に出場した理由を説明した。田中希実のように世界の舞台で活躍したいという気持ちが強いようだ。
 ドルーリーは岡山・鶴山中3年時に出場した全国都道府県対抗女子駅伝の3区(3㎞)で9分02秒の区間新記録を樹立。17人抜きの快走を披露して、その活躍が大々的に報じられた。
 スケールの大きな走りと、人を惹きつけるビジュアルに心を奪われた方がたくさんいたようだ。しかし、有名になったことで一部のメディアとファンが暴走。無断撮影や真意不明の情報拡散などに悩まされた。
 陸上競技を25年近く取材してきて、ドルーリーは実力以上に報道が加熱していると感じている。スポーツの世界では度々、こういう現象が起きてしまうが、ではドルーリーの本当の実力はどうなのか。
 日本選手権の女子中距離種目は過去にも高校生ランナーが活躍してきた。平成以降では800mで池田真理子(福岡南女高)、西村美樹(東京高)、福田翔子(松江北高)の3人が優勝。1500mでは小林祐梨子(須磨学園校)が高校2年時に日本一に輝いている。優勝に届かなくとも、入賞する高校生は少なくない。しかし、ドルーリーほど注目を浴びた高校生ランナーはいなかったように思う。

 

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