トラブル温床と3冠ジョッキーの“よからぬ評判”…なぜ池添謙一と17歳年下ホープ富田暁の“喧嘩騒動”が起きたのか…JRAは両者に騎乗停止処分…防犯カメラに一部始終
一方の富田は2017年に騎手デビューし、JRA通算190勝。昨年はセントウルSを14番人気のテイエムスパーダで逃げ切り、重賞初制覇を飾るなど、キャリアハイの42勝をマークしていた。騎乗技術も年々上達し、甘いマスクで人気も上昇中。ある厩舎関係者は、その性格について「気が強いところがある」とも話していたが、今回の事件に関しては「富田は被害者」との声が関係者から多く聞かれた。
というのも3冠ジョッキー池添の評判が思った以上に芳しくないからだ。
ファンサービスも兼ねて騎手の中では、SNSの先駆者といっていいほど、こまめに情報を発信。かつて騎乗したオルフェーヴルやシンハライトといったパートナーを訪ねた場面をアップし、競馬ファンを楽しませる一方で、トラブルメーカーの一面を持っていた。
ある調教師は、「彼の騎乗を評価する人がいる一方で、人によってこびへつらったり、見下したりと態度を変えることも多く嫌っている人は少なくない」と話す。また別の厩舎関係者は「フレンドリーな一面があるが、キレやすい。池添はトラブルメーカーの1人として有名で後輩に対して厳しく、酒癖の悪さは知られていた」と明かした。
過去の素行も、決して一流とは呼べないものだった。10年前には、札幌のキャバクラ嬢との間でトラブルになり、週刊誌に不倫DVを告発されてもいる。その際、馬乗りになり、女性に暴行を加え、顔面を殴打。手を痛めると自身の「骨が折れた」と叫んだり、相手の腕をかむなど、切れると何をしでかすか分からない一面もあったと報じられている。またファンのヤジにキレて口論になったこともある。
そして、もうひとつ今回の事件の背景として見逃してはならないのは、遠征先の騎手の宿舎である調整ルームは、トラブルの温床で表に出ていない“いざこざ”が結構起きていることだ。
通算1918勝(重賞93勝、うちGI17勝)の成績を持つ元JRAトップジョッキーで、現在は札幌市内でバーを経営している藤田伸二氏は、自身のXにこう投稿した。
「酔ってケンカでもしたか 。俺が言うのは説得力がぜんぜん無いのは承知だが…出張先の調整ルームの騎手同士の揉め事はあるあるだな。でも年齢差を考えると大人と子供くらい違うし… なんだかな…」
藤田氏も現役時代に栗東市内の飲食店で従業員に暴力行為を働き、騎乗停止処分になったこともある“暴れん坊”だったが、遠征先での調整ルームでのトラブルは「あるある」だと証言した。
厩舎関係者の1人も厳しい表情で、こう語った。
「調整ルームでのジョッキー同士のいざこざは結構あった。特に函館や札幌、昔の小倉のようなローカルの滞在競馬ではしょっちゅうですよ。でも表に出ることはほとんどないんです。今回、事件があったことは我々の耳にも入っていて、またもみ消されるのではないかと噂されていた。でも、今回はさすがに見逃されなかったようですね」
不正行為の防止のため、レース期間中に騎手は、騎乗の前日の21時までに調整ルーム(宿舎)に入り、“缶詰め”となり、スマホの持ち込みなども禁止される。JRAも管理に細心の注意を払っているがレース中で神経も過敏となっている“密室”の中だけに騎手同士の“いざこざ”も起きやすいのだ。