なぜ浦和レッズから主力の流出が相次いでいるのか…主将の酒井宏樹に続き副将ショルツもカタールクラブに移籍の緊急事態
すでに浦和を離れている酒井を移籍へ駆り立てたのも、昨年11月に創設されたニュージーランドの新興クラブ、オークランドFCからのオファーだった。
同チームは今秋に2024-25シーズンが開幕する、オーストラリア1部リーグへ新規参入する。ドイツとフランスで9シーズンにわたってプレーし、浦和でも最大の目標だった2022シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制覇。34歳になった酒井にとって、ゼロからオークランドを発展させていく移籍は魅力的に映ったはずだ。
新天地名こそ書かれていないものの、浦和のリリースで酒井はこう記している。
「自分のおもいを理解し尊重してくれたクラブに感謝しています」
27日には岩尾の古巣・徳島への完全移籍が発表されている。
岩尾は日体大から湘南ベルマーレ、水戸ホーリーホックをへて2016シーズンに徳島へ加入。2017シーズンからキャプテンを拝命し続け、2020シーズンに決めたJ1再昇格の原動力になった。2022シーズンからは浦和へ期限付き移籍して、徳島時代に厚い信頼関係を築いたリカルド・ロドリゲス監督(50)と再びタッグを組んだ。
ロドリゲス監督はその年限りで浦和を去ったが、岩尾自身は昨シーズンから完全移籍へ移行。リーグ戦では出場停止だった1試合を除く33試合でダブルボランチの一角で出場し、長短の正確なパスで攻撃を組み立てた。4月と5月に行われたACL決勝でも、ショルツや酒井とともに浦和の5大会ぶり3度目の優勝に貢献している。
しかし、今シーズンは出場機会を大きく減らしている。移籍が発表された時点で12試合に出場。そのうち先発は7度で、プレー時間は633分だった。怪我で8試合を欠場した以上に中盤の形が変わり、さらにアンカーとして新加入のスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソン(29)が重用された影響は大きかった。
そして、4月には36歳になった岩尾の心は、オファーを出してくれた徳島への復帰か、あるいは浦和での挑戦の継続かで揺れた。その古巣は監督交代や主力の退団で大きく揺れ、開幕直後の最下位からようやく11位まで盛り返してきていた。