なぜ浦和レッズから主力の流出が相次いでいるのか…主将の酒井宏樹に続き副将ショルツもカタールクラブに移籍の緊急事態
いつかは誰にでも現役に別れを告げるときが訪れる。自身のサッカー人生を考えたときに、岩尾は愛着深い徳島への復帰を決めた。発表されたリリースのなかで、岩尾は意思を尊重してくれた浦和へ感謝しながらこんな言葉を綴っている。
「ここで全てを語り尽くすことはできませんが、僕が今日までやってきたことに後悔はありません。ここが僕の浦和レッズでの最大であり最終着地点だと思います」
ショルツも酒井も岩尾も、他チームから必要とされる状況で、迷った末に移籍を選択した。酒井が抜ける右サイドバックは湘南ベルマーレから加入した石原広教(25)が、岩尾が抜ける中盤には流通経済大から加入して3年目の安居海渡(24)がそれぞれ台頭し、世代交代が進みつつある状況もベテランの彼らの背中を押したといっていい。
27日にはオーストリア2部のザンクト・ペルテンから、21歳のFW二田理央が完全移籍で加入すると発表された。一方でホイブラーテンとコンビを組むCBはガンバ大阪から加入した佐藤瑶大(25)が奮闘しているものの、現時点で控えが京都サンガF.C.から加入した井上黎生人(27)だけとなった。今夏の移籍期間で補強に動く可能性もある。
昨年8月の天皇杯で一部のファン・サポーターが暴徒化してピッチに乱入した問題で、浦和は今シーズンの天皇杯出場権をはく奪されている。さらにYBCルヴァンカップでは5月の1stラウンド3回戦で、J2のV・ファーレン長崎に敗れて姿を消した。その長崎戦でようやくデビューしたノルウェー代表MFオラ・ソルバッケン(25)も、ローマからの期限付き移籍が満了する今月末で退団すると一部スポーツ紙が報じている。
戦う舞台がJ1リーグ戦だけになった今シーズン。オフに行った近年にない大型補強で選手層の厚みを増し、優勝候補の一角にあげられながらも、首位のFC町田ゼルビアと勝ち点11ポイント差の9位に甘んじる浦和は、2月の開幕時の陣容や構想を大きく変えざるをえない状況で、30日にジュビロ磐田をホームの埼玉スタジアムに迎える。
(文責・藤江直人/スポーツライター)