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医師と会長の“二刀流”仲間達也氏(中)と副会長の井崎洋志氏(右)と杉崎正明氏(左)
医師と会長の“二刀流”仲間達也氏(中)と副会長の井崎洋志氏(右)と杉崎正明氏(左)

「もう(ドン)山根派なんて話は忘れていい」“アマボクトップ”日本ボクシング連盟の新会長は心臓外科医との異色二刀流

 

また19人が選出された理事の面々を見ると、旧山根派と言われる人々は一人もいなくなった。また現役女子ボクサーである鬼頭茉衣がアスリート代表として選ばれた。
 仲間氏は「もう誰が山根派だとか、山根派じゃないとかという話は正直忘れていいんじゃないか。何のために誰のために仕事をするのか。役員にしても、それができる人を選出した」と明言。“ドン”山根氏が残した“悪しき遺産”は、この6年間で一掃されたことを強調した。
 仲間氏は新会長として推し進める4つの方針を示した。
⓵マスボクシング大会の普及 ②女子競技者の増加 ③責任が明確で継続性のある強化体制の構築 ④五輪競技であり続けるための国際社会への貢献の4つだ。具体的には⓵のマスボクシングは、いわゆる寸止めボクシングで、競技の登録者数が約5000人しかないアマチュアボクシングの競技人口の底辺を拡大する方策のひとつ。すでに2021年から都道府県レベルで大会やイベントを進めてきた。②の女子競技者の増加については、パリ五輪では男女の参加人数が同数になるなど世界の動きに対応したもの。東京五輪では入江聖奈がフェザー級で金メダル、並木月海がフライ級で銅メダルを獲得したが、今回のパリ五輪では代表権を得ることをできなかったことへ危機感も抱いた。仲間会長は「選手層の薄さが原因のひとつ」と痛感。一部階級でのインターハイの開催、18歳以上の選手のエリート枠での国体出場など、女子選手の大会を増やすなど、競技人口の増加に焦点を合わせることを明かした。そこにも関連するが、③ではパリ五輪後に強化体制を一新することになった。ロンドン五輪代表でJOCのハイパフォーマンスディレクターでもある須佐勝明氏を責任者に任命する方針を固めた。須佐氏は大橋ジムでWBA世界バンタム級王者の井上拓真らを指導するなど、そのボクシング理論には定評がある。また経費がかさむなどの理由もあり、ウズベキスタンから長年招聘していたコーチのウラジミール・シン氏との連携も見直すことになった。
 そして仲間氏が「最重要課題」とするのが④のボクシングの五輪競技除外に関する問題だ。IOC(国際オリンピック委員会)は日本も所属しているアマチュアボクシングの世界の統括組織IBA(国際ボクシング協会)の不透明な組織運営や不正判定などの問題でIF(統括団体)としての承認を取り消した。このままIBAが、世界のアマチュアボクシングを牛耳る限り、パリ五輪の次のロス五輪ではボクシングが競技から除外される。ロス五輪でボクシング競技を継続したい米国やオランダが中心になって新組織「ワールドボクシング」を立ち上げたが、IOCはIFとして認める条件として50か国以上の参加を求めている。日本は、これまで内田前会長が、IBAの会長を全日本選手権に招待し、不正判定を防止するための、AIと映像を使った新判定システムを提案して採用が決まるなど、これまではIBAと“ズブズブ”の関係にあり、まだ脱退するか、新組織「ワールドボクシング」に参加するかの態度を明らかにしていない。

 

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