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パリ五輪の代表メンバーを発表した大岩剛監督(左)と山本昌邦ナショナルチームダイレクター
パリ五輪の代表メンバーを発表した大岩剛監督(左)と山本昌邦ナショナルチームダイレクター

サッカーパリ五輪代表は「呼びたくても呼べなかった」OA組と松木玖生を抜きで本当に悲願のメダルを獲得できるのか?

 日本サッカー協会(JFA)は3日、パリ五輪に出場する男子代表メンバーの18人を発表した。MF藤田譲瑠チマ(22、シントトロイデン)をはじめ、出場権を獲得した今春のAFC・U-23アジアカップを制した23歳以下の選手たちが名を連ねた一方で、最大3人を招集できる年齢制限のないオーバーエイジは4大会ぶりにゼロ。都内で会見した大岩剛監督(52)はベストメンバーを強調したが、MF松木玖生(21、FC東京)らも欠いた陣容で、本当に目標のメダルを手にできるのか。

 

 ひな壇の大岩監督がゆっくりとした口調で、最終的には前日2日のスタッフ会議で決めた、パリ五輪に臨む男子代表メンバー18人の名前を読みあげていく。
 発表はポジションごとに、年齢の高い順に進められた。そのなかで招集されれば真っ先に呼ばれるはずのオーバーエイジ枠の選手は、2人のGKにも、6人のDFにも、そして5人ずつのMFとFWにも名を連ねていなかった。
 優勝とともに8大会連続12度目の五輪出場を決めた、今春のアジアカップに臨んだ23歳以下の選手たちが、18人中で16人を占める構成に大岩監督はこう言及した。
「現時点でベストと思われる選手たちを招集したつもりでいる。オーバーエイジの選手がいる、いないは別にして、アジアカップで優勝した自信と誇り、そして責任感をもってパリ五輪に向かっていきたい。それがいま現在の率直な気持ちです」
 五輪本大会では23歳以下の年齢制限の対象外となる、オーバーエイジを最大3人まで招集できる。都内で行われた会見に同席したJFAの山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND、66)は、オーバーエイジに関して「現場からの希望はあった」と補足した上で、最終的には交渉がまとまらなかったと説明した。
「1年以上の時間をかけて海外組との調整を進めてきた。選手の意思を確認するだけでなく、クラブ側の了承もえなければならない。一方で移籍が関わってくると、新たなクラブの意思も関わってくる。ヨーロッパのマーケットが日々動いているなかで、選手の行き先が決まらないと交渉もできない。また、クラブの監督が変われば選手の立ち位置も変わるなかで、先を予測しての交渉が困難を極めたのも事実です」
 国際サッカー連盟が定める国際Aマッチデーの期間外に開催される五輪では、日本を含めた各国のサッカー協会は選手を拘束できない。現場が招集を望む選手たちが所属するクラブと、それぞれ個別の交渉が求められるなかで、歴史的に五輪に理解のある日本国内のクラブは選手派遣に協力的な姿勢を示してきた。
 対照的に五輪に対する関心が低い、ヨーロッパのクラブとの交渉はハードルが高い。パリ五輪も例外ではなく、オーバーエイジ候補として名前があがったMF遠藤航(31、リバプール)やDF板倉滉(27、ボルシアMG)、DF町田浩樹(26、ユニオン・サンジロワーズ)らの森保ジャパン勢は最終的に交渉がまとまらなかった。
 招集されればリオ、オーバーエイジで出場した東京に続く五輪出場となった遠藤は「選ばれたらいきたい、というスタンスです」と繰り返してきた。しかし、リバプールの監督が代わり、新たなチーム作りが始まる状況で難色を示されたとみられる。
 町田も今夏の移籍市場で、2年半在籍したユニオン・サンジロワーズからのステップアップを希望している。日本オリンピック委員会(JOC)へ提出した代表選手は、怪我やコンディション不良でない限りは変更できない。移籍先のクラブが派遣を拒否する可能性も考慮すれば、選外とせざるをえない状況だった。

 

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