サッカーパリ五輪代表は「呼びたくても呼べなかった」OA組と松木玖生を抜きで本当に悲願のメダルを獲得できるのか?
五輪の男子サッカー競技は、1992年のバルセロナ大会から23歳以下の年齢制限が、続く1996年のアトランタ大会からオーバーエイジ枠がそれぞれ設けられた。
そのアトランタ大会から連続出場を続ける日本は同大会と、2008年の北京大会の2度でオーバーエイジを招集していない。結果はともにグループステージ敗退。特にMF遠藤保仁とFW大久保嘉人の招集へ動くも最終的に断念した北京大会は、過去7大会で唯一、3戦全敗と勝ち点0のまま五輪の舞台から去っている。
対照的に4位入賞を果たした2012年のロンドン大会と、前回2021年の東京大会はオーバーエイジの選手たちがチームにフィット。東京大会では五輪の戦い方を熟知するDF吉田麻也、DF酒井宏樹、そして遠藤が濃密な経験を注入しながら、MF久保建英やMF堂安律ら若手選手の躍動を縁の下で支えている。
各大会で23歳以下のチームに足りない要素を、オーバーエイジの選手たちで補う。パリ五輪世代でいえば、センターバックを含めた最終ラインが安定さをやや欠いてきた。その意味で板倉や町田らのセンターバック勢がリストアップされた。
しかし、最終ラインの前に君臨する遠藤を含めて、大岩監督が描く構想は実現にはいたらなかった。さらにパリ五輪世代の主軸を担ってきた松木やMF鈴木唯人(22、ブレンビー)、GK鈴木彩艶(21、シントトロイデン)も選外になった。パリ五輪世代である久保も、所属するレアル・ソシエダとの交渉がまとまらなかった。
特に松木の選外には、会見場でも驚きの声があがった。大岩監督が「選ばれていない選手についてのコメントは避けたいが、彼の身体、コンディションに問題があるわけではない」と答えるにとどめたなかで、山本NDはこう補足している。
「移籍の可能性があります。そのなかでパリ五輪の期間中に、われわれが確実に招集できる、という確約がえられませんでした」
セリエAパルマへの移籍が報じられている鈴木彩とともに、松木にもヨーロッパへ移籍する可能性があるために招集を見送ったと山本NDは明かした。
大舞台における経験値を含めた、チームの総合力を客観視。その上でU-23パラグアイ代表とのグループステージ初戦が、3週間後の現地時間24日に迫るパリ五輪で勝利する確率だけを問えば、正直、低くなったといわざるをえないだろう。