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井岡一翔と対戦するマルティネスが持つIBFのベルトにはマイク・タイソンのサインが(写真・山口裕朗)
井岡一翔と対戦するマルティネスが持つIBFのベルトにはマイク・タイソンのサインが(写真・山口裕朗)

「井岡一翔に勝てる確信がある」7.7両国統一戦を前に豪語のIBF王者マルティネスにマイク・タイソンが“あの”極意を伝授

 7月7日に両国でWBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(35、志成)と2団体統一戦を戦うIBF世界同級王者のフェルナンド・マルティネス(32、アルゼンチン)が3日、東京目黒区の志成ジムで練習を公開した。この試合の勝者との対戦をWBCの新王者ジェシー“ボム”ロドリゲス(24、米国)が熱望しているが、マルティネスは、WBO世界同級王者の田中恒成(29、畑中)との2人を天秤にかけて「ファイトマネーのいい方。どちらと言えば日本でやりたい」との意向を示し、最終的に4団体統一に目標を置いていることを明かした。またボクシングを始めるきっかけとなった憧れの元ヘビー級3団体統一王者のマイク・タイソン(58、米国)と合宿中に対面して、井岡に勝つための攻防一体のディフェンス極意を伝授されたという。

 

 陽気なラテンミュージックをオンにした。
 ドラゴンボールの悟空と、大好きなアルゼンチンの地元サッカークラブ「ボカジュニアーズ」のチームカラーをイメージした鮮やかなブルーとグリーンに髪を染めたマルティネスは、1分30秒から2分のインターバルで、準備体操、ロープ、シャドーと、時折、奇声を発しながら、ハイテンションでこなしていく。
 来日した時点で体重はリミットに3キロほどで「もうリミットに近い」というだけあってその動きは軽快だった。ミット打ちではショートの連打と左右の強打のメリハリをつけ、サンドバック打ちでも、とにかく小さく速く打つ。スピードボールでは、タイソンばりにグローブで顎を固めて、上半身を高速に小刻みに左右に動かすディフェンス、ダッキングを披露した。
 実は、6月から米国ラスベガスの「パウンド・フォー・パウンドジム」で20日間のハードトレを行ってきたが、そこに突然、タイソンが訪ねてきて、そのディフェンスの極意を伝授してもらったという。
「ピーカブ―」という顎を両手で強固にガードしたまま、上体を小刻みに揺らしてプレスをかけてインサイドに入ってカウンターをも狙う攻防一体型のボクシングスタイルだ。
「私は5歳でタイソンの試合を見てボクシングを始めようと思ったんだ。その憧れの人にベルトにサインをしてもらった。ジェスチャーをまじえて、あのディフェンスを教えてもらったよ」
 IBFのオレンジのベルトにはタイソンのサインが書かれてあった。
 マルティネスは5歳の頃にテレビでタイソンの「相手は覚えていない。とにかく1ラウンドの数十秒で終わった」という試合を見たという。年齢と結果から推測すると、おそらく1996年9月のブルース・セルドン戦だろう。イベンダー・ホリフィールドと対戦する前の試合だ。
 両親に「ボクシングをやりたい」と直訴。父親は、すぐさまアルゼンチンのボクシング連盟に問い合わせをしてくれたが、14歳になるまで受け入れはできないという返事。だが、その後、父が「11歳から入門OK」というジムのポスターをみかけ本格的にボクシングをスタートしたという。
 井岡にとって2度目の統一戦となるIBF王者は、過去最強と言っても過言ではない。
 16戦(9KO)無敗のタフなインファイター。井岡は「マルティネスは距離が近く接近戦に強い選手。その距離の戦いで上回らないと止めることはできない。より近い距離での試合になる」と、打ち合い覚悟の戦略を明かしている。マルティネスは、「井岡はグレートで日本で有名なボクサー。私は彼のような強い相手と戦いたかった」とリスペクトを示した上で、打ち合いは大歓迎であると明言した。
 すでに井岡の過去の映像をチェックしているが、最も印象に残ったのは、被弾覚悟で前に出て、7回にKO決着した昨年大晦日のホスベル・ぺレス(ベネズエラ)戦だったという。
「あの試合は打ち合った。井岡はハードになった。たくさんパンチを出した。ああいう衝撃的な試合が好きだし、大歓迎なんだ。私はすべてをリングで出す。そしてより優れた方が勝つ」
 足を止めての殴り合いならタイソン直伝のスタイルが効果を発揮すると考えている。

 

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