• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 岡田阪神を混乱させた広島の新井監督が計算ずくで「むちゃくちゃやった」これだけの根拠…初球エンドランが4度に代走の羽月が二盗→三盗→暴投で勝ち越し点
広島の新井監督が繰り出した実は計算ずくの“むちゃくちゃ野球”で岡田阪神に勝利(写真・黒田史夫)
広島の新井監督が繰り出した実は計算ずくの“むちゃくちゃ野球”で岡田阪神に勝利(写真・黒田史夫)

岡田阪神を混乱させた広島の新井監督が計算ずくで「むちゃくちゃやった」これだけの根拠…初球エンドランが4度に代走の羽月が二盗→三盗→暴投で勝ち越し点

 カープに流れが傾いた。「羽月さんの二盗、三盗にすごく勇気をもらって自分も打つことができました」。堂林が、レフト線に2点タイムリー二塁打。さらに代打二俣にもタイムリーが出て一気に4点を奪い、新井監督はベンチでガッツポーズを繰り返した。
 セオリー無視の“超ド級”積極野球で奥深い岡田野球をぶち壊した。
秋山―野間の1、2番コンビに4番小園の固定パターンを崩して大幅に打順をシャッフルした。1番秋山、2番矢野、3番小園、4番坂倉、5番石倉、6番野間、7番菊池、8番堂林というオーダー。その狙いは、機動力にあった。
「日々色々と考えて(打線を)組んでいますが、打順もサインも含めて、昨日、一昨日と流れが悪い中で(阪神の先発が)村上投手という、いい投手だったので、こちらも、ある程度、むちゃくちゃやらないといけないと思っていました。リスク覚悟で、どんどんがんがんいかないとなかなか(攻略は)厳しいと思っていました」
 阪神との初戦で延長の末に完封負け、第2戦では、佐藤に2本塁打を浴びて1-2で敗れた。眠っていた打線を叩き起こそうと、なんと新井監督は、この試合で、初球エンドランのサインを4度も出したのである。
 初回に秋山が村上の初球を捉えて出塁すると、続く矢野の初球にエンドランのサイン。矢野は空振りしたが、秋山は盗塁に成功、あわてた梅野のとんでもない悪送球を誘い、無死三塁とした。矢野がファウルで粘って8球目をライト前に先制タイムリー。2人で1点を奪うと、さらに二死一塁から、坂倉の初球にエンドランのサイン。これはファウルになったが、フルカウントになって続けて自動スタートを切らせた。センターフライに倒れたが、小園がスタートを切る度にマツダスタジムのファンは沸いた。2点を追う4回にも無死一塁から野間の初球にエンドラン。打球は三遊間を破り、見事に決まったが、走者は三進できなかったため新井監督は、バントで走者を二、三塁に進めた。そして菊池の打席でフルカウントからの7球目のフォークがワンバウンドとなり、さすがの梅野も止めることができず、三塁走者の坂倉が生還した。
 1点差に詰めより、なお二死一、三塁でアドゥワに打席が回ってくると、新井監督は、もう代打の切り札の松山をコールした。松山は三振に倒れたが、ベンチの意思は選手に伝わっていた。
 さらに5回には一死一塁で小園の初球にまたエンドラン。これはファウルになったが、とにかく広島ベンチが、これでもかと機動力を使ってくるので、阪神バッテリーは、走者を警戒してストレートで勝負せざるを得なくなった。小園は、その心理を読み、2球目のストレートを狙い打った。レフトフェンス直撃の同点への足がかりとした二塁打である。

 

関連記事一覧